免震建物へのフェイルセーフ機構「免震フェンダー®」の建設技術審査証明を取得

低コストな免震技術で想定以上の地震時における免震建物の安全性向上を図ります

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、一般財団法人日本建築センターから、免震建物へのフェイルセーフ機構「免震フェンダー」の建設技術審査証明(※1)を取得しました。

想定以上の地震時における免震フェンダーの効果 (左)免震フェンダー非設置の場合、(右)免震フェンダーを設置した場合

免震建物は地震時に大きく水平に動けるよう、免震層にクリアランスを設けますが、想定以上の地震が発生した場合には免震建物がクリアランスよりも大きく動き、擁壁に衝突してしまうことが懸念されています。衝突した場合、衝突の衝撃力で建物自体が大きく揺れるため、建物の損傷や家具の転倒などにより建物利用者の安全が脅かされる可能性があります。

大林組が2017年に開発した高減衰ゴム製ブロックの免震フェンダーは、衝突による衝撃力を緩和させることで建物の損傷を抑制し、建物利用者の安全性を向上させるフェイルセーフ機構です。想定以上の地震に対する備えとして、2019年6月までに大林組が設計した6物件に計170個が採用されています。

このたび、日本建築センターの審査を受け、免震フェンダーの力学特性(※2)が適切であることが確認されるとともに、製造時の検査方法や維持管理方法が適切に定められていると判断されました。

 

  • 免震フェンダーの設置例

   

免震フェンダーの主な特長は以下のとおりです。    

想定以上の地震発生時に擁壁などに衝突する衝撃力を緩和

免震フェンダーは、建物と擁壁(またはストッパー)との間に設置する緩衝装置で、高減衰ゴム製ブロックが塑性変形(※3)し、衝突のエネルギーを吸収することで、想定以上の地震に対する建物および建物利用者の安全性を向上させます。

基礎免震建物では、免震建物と擁壁との間にクリアランスを確保したうえで設置します。中間層免震建物では、過大変形防止用のストッパーを設け、その間にクリアランスを確保したうえで設置します。

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塑性変形後の免震フェンダー

緩衝材には密実な高減衰ゴム製ブロックを使用しているため、ブロック1個当たりの吸収エネルギー量が多く、少ない個数で衝撃力を緩和することが可能です。

シンプルな構成で低コスト

高減衰ゴム製ブロックと取り付け用の鉄板によって構成されたシンプルな装置です。持ち運びや取り付け、取り外しが容易で、免震構造全体の費用に対して非常に低コストで設置できます。

大林組は、建設技術審査証明の取得によって、より安心して採用いただけるようになった免震フェンダーを免震建物における想定以上の地震に対するフェイルセーフ機構として積極的に提案することで、安全・安心な社会の実現に貢献していきます。

基礎免震建物における免震フェンダー設置例
中間層免震建物における免震フェンダー設置例
        
  • ※1 建設技術審査証明
    民間で自主的に研究・開発された新技術について、日本建築センターなどの特定の第三者機関が、依頼者の申請に基づき新技術の技術内容を学識経験者などにより技術審査し、その内容を客観的に証明するもの
      
  • ※2 力学特性
    免震フェンダーに圧縮荷重を加えた際の圧縮荷重と変形量の関係
      
  • ※3 塑性変形
    物体に外力を加えて変形させ、一定値を超える外力を与えたとき、外力を除荷した後に残る永久的な変形

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報第一課
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