排水が少なく環境に優しい「アワビの循環式陸上養殖技術」を開発
海水を浄化しながら安全・安心なアワビの育成を実現しました
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プレスリリース
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、海水を浄化しながら再利用することで、排水による海への環境負荷をかけることなく、アワビを育成できる循環式陸上養殖技術を開発しました。
昨今、水産物の安定供給を実現する養殖技術が注目される一方で、フンや残餌を含む養殖排水は海への環境負荷が問題になり、海の持続的な利用の観点から飼育水を浄化しながら再利用する循環式陸上養殖が注目されています。
大林組は、水辺での工事における生物への影響を抑えるため、水域環境の保全に関する多数の技術やノウハウを保有しています。今般、それらの知見を活用し、環境負荷が少なく安全・安心な食を提供することをめざし、排水が少ない循環式陸上養殖技術を開発しました。微生物の力で水槽の飼育水に含まれる有機物や窒素化合物などを分解除去することで清浄な水質を保つことができます。
大林組技術研究所(東京都清瀬市)において、特に清浄な海水を好み水質など成育環境を適切に管理することが求められ、かつ近年漁獲量の低下によって養殖への期待が高まっているアワビについて、1年間実証を行いました。実証を通じて、本技術に加え、アワビを育成するのに適切な温度管理や水槽の衛生管理手法を確立したことで、殻長が3~4cmのアワビの稚貝を、約1年で平均7cm程度、最大では8.5cmに成長させることができました。
大林組の循環式陸上養殖技術の特長は以下のとおりです。
飼育水の浄化技術と適切な管理ノウハウで、天然よりも早く成長します
フンや残餌により飼育水に蓄積する有機物や窒素化合物は微生物を利用して分解、除去することで安定して清浄な水質を保ちます。さらに、アワビの育成に関して、適切な水質測定に基づく、ミネラル補給や清掃などの調整ノウハウを確立したことで、安定した成長を促すことが可能です。
養殖の排水をほとんど出さず環境に優しく育成できます
ろ過した海水を常時供給する従来のかけ流し方式では、1時間に1~2回の水交換が行われます。本技術では、飼育水に人工海水を利用しており、新たな水の供給は1日に水槽の2%程度で済むため、同じサイズのかけ流し方式と比べると給排水量が1,200~2,400分の1で済みます。
安全・安心な水産物を安定供給できます
屋内で飼育でき、かつ常に清浄な水質で育成することができるため、悪天候や海の水質汚濁など環境変化に左右されることなく安全・安心な水産物を安定して供給できます。
大林組は、持続可能な社会の実現に向けたさまざまな技術開発を行っており、持続可能な海の利用の実現にも貢献したいと考えています。今後、循環式陸上養殖技術の信頼性をさらに高めて、将来的にアワビの中間育成の事業化を視野に入れるとともに、地域の新しい魅力をつくりたい協力先との関係を構築し、この技術を普及させることで、海の豊かさを守ることにつなげることをめざしていきます。
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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