コンクリートの残りの必要数量計算アプリ「ピタコン™」を開発しました
数量計算時間の短縮と残コンクリートの削減
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プレスリリース
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、株式会社エム・ソフト(本社:東京都台東区、社長:飯田昌宏)と共同で、LiDAR(※1)機能を搭載したiPadやiPhone(※2)で撮影した画像とAR技術を利用して、コンクリート打設の残りの必要数量を自動計算するアプリ「ピタコン(※3)」を開発しました。エム・ソフトが2021年5月から一般販売を開始する予定です。

コンクリート工事では、打設の1ヵ月以上前に図面から概算の打設数量を算出し、生コン工場の出荷枠に対し打設日の調整を行います。打設当日に、打設作業の合間を縫って打設済みの体積と残りの必要数量を2人1組で実測し、その日の最終的な納入数量を確定しますが、計測ミスや計算ミスなどが原因で数量違いが発生する場合がありました。また、数量が不足した場合には追加注文しますが、生コン工場から現場へ到着するのに時間がかかるため、作業時間の延長やコールドジョイント(※4)の発生など、経済的、品質的な問題につながります。そのため、多くの場合は余裕を持った数量を注文しますが、残コンクリートの発生により処理費用が増加し、加えて、不要な建設副産物の発生が環境負荷を増大させるという課題がありました。
今回開発した「ピタコン」は、画像とAR技術を利用して打設の途中に未打設範囲を指定することで、コンクリートの残り必要数量を自動計算できるため、1人で計測が可能となり、計測時間の短縮および計算ミスや過大発注による残コンクリートの削減が図れます。
「ピタコン」の特長は以下のとおりです。
1人で短時間に計測が可能
本アプリでは、1人の計測者がiPadやiPhoneの画面で、未打設範囲の平面形状の変化点や深さ計測点に仮想ポールを立てることで相対座標の記録ができ、短時間に計測可能です。
特に、未打設範囲が不定形となり、計測に手間のかかるコンクリート床版の打設に対して、高い時間短縮効果があります。

自動計算により計算ミスを防止
面積計算は、未打設範囲の外周を一筆書きの要領でプロットすることで、不定形であっても自動で面積を計算します。深さ計算は、測定数に応じて平均値を取り、面積結果に深さの平均値を乗じることで残りの必要数量を算出します。これらすべてを自動計算するために計算ミスを防止します。
高精度に残りの必要数量が計測可能
本アプリは、コンクリート床版を対象としており、距離計測の精度は10m以下の範囲で±3%以内です。また、深さ計測の精度は、1200mm以下の範囲で±30mm以内です。


大林組は、「ピタコン」を施工現場で積極的に取り入れ、生産性向上と、残コンクリートの発生抑制による環境負荷の低減を推進していきます。
- ※1 LiDAR(Light Detection and Ranging:光による検知と測距)
赤外線を照射し、物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を測定することで、物体までの距離や方向を測定する技術 - ※2 iPadやiPhone
iPad、iPhoneは、Apple Inc.の商標です - ※3 ピタコン™
株式会社エム・ソフトの商標(登録出願中) - ※4 コールドジョイント
先に打ち込まれたコンクリートの上に、後から打ち込まれたコンクリートが一体化しない状態となり、打ち重ねた部分に不連続面が生じること。水密性や耐久性に悪影響を与えるため、本来は先に打ち込まれたコンクリートが硬化する前に、次のコンクリートを打ち重ねる必要がある
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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