スマートビル向け「統合ネットワーク構築ガイドライン」をシスコと共同で作成

統合ネットワークの構築体制を強化し、ビルの不動産価値向上を支援します

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、シスコシステムズ合同会社(本社:東京都港区、社長:中川いち朗、以下 シスコ)と共同で、スマートビル向けの「統合ネットワーク構築ガイドライン」を作成しました。本ガイドラインは、建設工事と一体的に統合ネットワークを構築することを前提とし、大林組の持つ建設プロジェクトマネジメントのノウハウとシスコの持つネットワークおよびサイバーセキュリティに関するノウハウを統合して作成しました。

スマートビルディングのイメージ
スマートビルディングのイメージ(提供:シスコ)

近年、さまざまなデバイスのIoT化が進んできている中、ビル設備についても例外ではなく、カメラやセンサーはもちろんのこと、中央監視システムを中心とした空調・照明もBACnetプロトコル(※1)によりIPネットワーク(※2)への接続が可能になっています。

そして、ビルオーナーや入居テナントのDXへの取り組みと相まって、スマートビル建設の要望が高まっています。また、スマートビルの根幹を支えるIPネットワークは、電気・ガス・水道に次ぐ「第四のユーティリティ」として、ビル設備になくてはならないインフラとなってきており、さらにデータ共有といった利便性や外部からの脅威に対する安全性の観点から、これらを統合した「統合ネットワーク」への取り組みが進んできています。

そのような背景の中、大林組では「統合ネットワーク」への取り組みを強化していましたが、実際に統合ネットワークを構築するにあたっては、多くのステークホルダーとの調整や業務の進め方に関するノウハウと、サイバーセキュリティや可用性(※3)を考慮したネットワーク性能に関する専門知識が求められ、それら「業務に関する指針」と「性能に関する指針」の必要性を強く感じていました。

ネットワーク分野における世界的なリーダーであるシスコは、不動産業界のOT(※4)、ITをリードする複数の企業とエコパートナーシップを構築するともに、製品開発への投資も積極的におこなっています。グローバルで豊富なスマートビルディングの実績があり、日本国内の建築工事においても、どのように構築を進めていくべきか明確な指針を示すことが望ましいと考えていました。

今般、両者が抱える課題の解決をめざして、大林組のICT専門部門とシスコが共同で「スマートビル統合ネットワーク構築ガイドライン」を作成しました。スマートビルは、ビルオーナーにとって不動産価値向上に寄与する一方、ランサムウエアなど外部からの脅威にさらされるリスクと背中合わせといえます。大林組の建設プロジェクトに関するノウハウにシスコの高度なネットワーク技術を組み込むことで、ネットワークの「拡張性」「利便性」といった不動産価値向上とともに「信頼性」といった安全面にも配慮し、ビルオーナーやビル利用者への高品質な統合ネットワークの提供をめざします。

本ガイドラインは、統合ネットワークの設計ポイントと構築手順から構成されています。基本計画、基本設計、実施設計、施工、運用といった、一般的な建築プロジェクトの進め方に合わせて、仕様を決めるタイミングを明確に示すとともに、設計のポイント、施工上の注意点なども合わせて記載し、エンジニアの経験に左右されず質の高い統合ネットワークを構築できるように配慮しています。

また、2019年12月経済産業省発行の「経産省ガイドライン」(※5)にも準拠し、2018年7月内閣サイバーセキュリティセンター発行の「NISCガイドライン」(※6)も意識して作られています。

スマートビル統合ネットワーク標準ガイドライン
スマートビル統合ネットワーク標準ガイドライン

大林組とシスコは、今後このガイドラインをオフィスビル、工場、学校、病院、商業施設、ホテルといった他の建物用途についても幅広く適用していく予定です。

また、大林組では今回発表した「スマートビル統合ネットワーク構築ガイドライン」に加え、既存のスマートビルマネジメントシステム「Wellness BOX®」の次期バージョンの開発も進めており、さらなるスマートビル向けのソリューション強化を図ってまいります。

  • ※1 BACnetプロトコル(Building Automation and Control Networking Protocol)
    インテリジェントビル用ネットワークのための通信プロトコル規格。空調、照明、入退室管理、火災報知設備などの連携に使用される
  • ※2 IPネットワーク
    IP(Internet Protocol)で通信されるネットワーク
  • ※3 可用性
    Availabilityの略で、システムが継続して稼働できる度合いや能力のこと
  • ※4 OT(Operational Technology)
    設備やシステムを動かすための制御・運用技術
  • ※5 経産省ガイドライン
    ビルシステムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン第1版。産業分野別のサイバーセキュリティ確保の一環として、エレベーターや空調など多くの制御系機器を有するビル分野に関して、ビルシステムに関するサイバーセキュリティの確保を目的に、そのサイバーセキュリティ対策の着眼点や具体的対策要件を体系的に整理したもの
  • ※6 NISCガイドライン
    政府機関などの対策基準策定のための統一基準群。国の行政機関および独立行政法人などの情報セキュリティ水準を向上させるための統一的な枠組みであり、国の行政機関および独立行政法人などの情報セキュリティのベースラインや、より高い水準の情報セキュリティを確保するための対策事項を規定しています

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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