トンネル覆工コンクリート補修・補強工事用システム足場「フラップリフト™」を開発

トンネル1スパン分の半断面をカバーする作業床を確保し交通規制期間の短縮を実現します

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、トンネルの補修・補強工事における交通規制期間の短縮を目的として、トラック積載型システム足場「フラップリフト™」を開発し、東日本高速道路株式会社発注のトンネル工事に適用しました。

フラップリフトの補修・補強作業状況

昨今、社会インフラの老朽化が社会問題となっており、国内の道路トンネルにおいても、その約半数が今後10年間で建設から50年を経過することから、リニューアルが急務となっています。

従来、トンネル覆工コンクリート補修・補強工事の足場として使用されている高所作業車は、1台当たりの作業床の面積が3m×1.5m程度と狭いため、作業箇所に合わせて頻繁に移動しなければならず、移動や再設置に時間を要しました。

特に、近年一般的な工法となっている繊維シート接着工法(※1)では、長尺シートを覆工コンクリートに貼り付ける際に、作業範囲が狭いため補修・補強工事に時間を要し、交通規制期間が長期化していました。また、品質点検・確認用の高所作業車が、補修・補強用の高所作業車と輻輳(ふくそう)するため、品質管理者の移動が制限されます。このため、品質点検・確認作業の遅延や不良箇所の見逃しが発生するリスクがありました。

従来の高所作業車

そこで、トンネル1スパン分(10.5m)の半断面の作業床を確保できるシステム足場「フラップリフト」を開発しました。本足場は大型トラック(15t積)に搭載の上搬入し、トラック荷台上で足場を展開できます。トラックの荷台上に設置することで、速やかな足場の展開・格納や搬入・搬出が可能となり、夜間の1車線規制の作業にも容易に対応できます。足場は、油圧装置により補修場所にあわせて最適な高さ・位置に調整できるため、作業効率が大幅に向上します。

1車線交通規制での足場設置イメージ

フラップリフトの特長は以下のとおりです。

作業効率の大幅な向上

1台でトンネル1スパン分の半断面をカバーできるため、足場の移動・再設置の時間を短縮できます。また、広い足場上を作業員が自在に動け、アーチ状の壁への接近を上・中・下の3段の足場でカバーできるため、作業効率が大幅に向上します。2車線トンネルを補修する場合は、補修延長100m当たり交通規制日数を80日から52日に短縮でき、施工速度が1.5倍となります。

トンネル半断面での作業イメージ

品質・安全性の向上

トンネル1スパン分を連続したシームレスな構造に仕上げることが容易となり、さらに、施工前の調査・点検、施工完了時の再点検・補修も容易になるため、品質が向上します。また、フラップリフト全体を天井までシートで囲うことで、作業箇所の温度・湿度の制御が可能となり、品質管理基準で定められた材料の品質を確保したまま1スパン分の施工ができます。さらに、安定した広い足場上で作業できるため、安全性も向上します。

大林組は、高速道路のリニューアル工事に「フラップリフト」を積極的に活用することで、交通規制期間の短縮や渋滞の緩和、トンネル覆工補修・補強工事の高品質化を実現し、インフラ構造物の長寿命化に貢献していきます。

  • ※1 繊維シート接着工法
    既存のコンクリート構造物表面に繊維(炭素繊維・アラミド繊維など)シートを専用の樹脂で貼り付けることで、鋼板補強と同等以上の補強効果が得られる。また、鋼板より軽く腐食しにくい特長がある

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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