コンクリート打設時の先送りモルタルが不要な「ノンモルタル工法」を開発

環境負荷の低減、コスト削減と生産性向上を実現します

プレスリリース

株式会社大林組
株式会社エコスティック

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、株式会社エコスティック(本社:埼玉県春日部市、社長:出口秀夫)と共同で、圧送整流プラグ(※1)とハイブリッド配管(※2)の使用により、コンクリート打設時の先送りモルタルが不要になる「ノンモルタル工法」を開発しました。

従来、ポンプ車で圧送を行うコンクリート打設は、配管が詰まることを防ぐために、モルタルを先行材として使うことが一般的です。しかし、使用した先送りモルタルは、全てが産業廃棄物として処分されるため、廃棄されるモルタルは国内建設現場全体で年間60万m³(当社試算)になります。また、原料であるセメントの生産時CO2排出量は、年間23万t(当社試算)に上ります。さらに、先送りモルタルの準備と廃棄には非常に手間がかかることも大きな課題となっていました。

従来工法とノンモルタル工法の比較

今般、大林組とエコスティックは、圧送整流プラグとハイブリッド配管を使用し、先送りモルタルを使わずコンクリート打設ができる「ノンモルタル工法」を開発しました。生コンクリートは水・セメント・砂・砂利などが含まれる混合体であり、先送りモルタルなしで圧送を行うと、小さくて軽い砂利のみが早く進み、先頭部分で生コンクリートが脱水して流動性が失われ、配管が詰まります。そのため、圧送整流プラグを圧送する生コンクリートの先頭部に設置することで、プラグの強い配管抵抗により疑似的に配管内を満水状態にし、水・セメント・砂・砂利の流れが制御され、配管が詰まることを防ぎます。圧送整流プラグには強い遮断力があり、先行水を大量に入れても後から圧送されるコンクリートに混入することはありません。加えて、内面が平滑化されたハイブリッド配管を使用することにより、接続部の伸縮やブームの揺れを防げるため、配管内が詰まらず高品質なコンクリートを打設できます。

今回開発した「ノンモルタル工法」の主な特長は以下のとおりです。

環境負荷を低減し、脱炭素化に貢献

コンクリート打設時の先送りモルタルをなくすことで、廃棄モルタルが削減でき、建設業界における脱炭素化に貢献します。

大幅なコスト削減を実現

先送りモルタルを使わないため、モルタルの材料費や、廃棄モルタルの回収・保管、産業廃棄物としての処分費用が全て不要になります。

施工現場の生産性が向上

圧送整流プラグを設置することで、先送りモルタルを投入せずにコンクリートを投入できるため、数十秒で打設を開始できます。200m程度の配管打設で従来の方法と比較した場合、打設開始が30分程度早くできます。加えて、先送りモルタルの準備作業や、廃棄のための運搬作業などにかかる時間も不要になります。

実証実験におけるコンクリート打設状況と吐出(としゅつ)状況

大林組は、福島県いわき市の生コン工場敷地内における実証実験にて、品質や施工性に問題がないことを確認し、開削道路トンネル建設工事に適用しました。

【開削道路トンネル建設工事における初適用の状況】

  • 現場適用時のコンクリート打設状況1

  • 現場適用時のコンクリート打設状況2

  • コンクリート吐出(としゅつ)状況

大林組とエコスティックは、「ノンモルタル工法」を建設現場へ積極的に導入し、脱炭素社会の実現と建設業の生産性向上に貢献します。また、エコスティックは、ハイブリッド配管とハイブリッド配管を装備した特殊ポンプ車「ジェシカ」の販売、サポートを行います。

  • ※1 圧送整流プラグ
    強力な摩擦抵抗と完璧な遮断力をもつゴム製のボール。配管内に設置することで管内の流れを調整し、流動性を保ったままコンクリートを圧送することができる
  • ※2 ハイブリッド配管
    配管全ラインが同一内径で統一され段差がなく、2種類の継手の組み合わせにより揺れを防ぎ、伸縮しない配管

以上

本リリースについてのお問い合わせ先

大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
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エコスティック
TEL : 048-767-7340

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