品質向上と省力化を実現する地盤改良施工管理システム「OGIMS™」を開発

地盤情報の可視化と施工情報とのリアルタイム連携を実現

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、空港・港湾施設などの地盤改良工事において、改良地盤の品質向上および施工管理の省力化ができる地盤改良施工管理システム「OGIMS(オージムス)」(Obayashi Ground Improvement Management System)を開発しました。

地盤改良施工管理システム「OGIMS」の概要

埋め立て地に建設される空港・港湾施設などでは、液状化対策や耐震性向上のため、大規模な地盤改良工事が行われます。従来工法では、事前ボーリング調査から得られる情報に基づき地盤性状を推定し、地盤改良の仕様を決定していました。しかし、地盤改良工事の着手後に、推定した地盤性状と異なっていた場合は、地盤の改良不足や地盤変位、亀裂が発生する可能性がありました。

「OGIMS」は、削孔検層地盤推定技術(※1)、3次元可視化技術(※2)、施工状況連携技術(※3)の3つの技術で構成されています。地盤改良工事を行いながら、改良範囲の地盤性状をより正確に推定し、地盤変位量などの施工状況をリアルタイムに管理するとともに、3次元モデルを用いて地盤情報などを可視化できます。これらの技術を用いることで、地盤改良材の注入前に改良対象地盤の土質を推定し、地盤に変状が発生しやすい土質に対しては、注入速度や改良箇所の打設順序を変更するなど、地盤変状の発生を抑制する施工が可能となり、高品質かつ効率的な地盤改良が実施できます。

地盤改良施工管理システム「OGIMS」の特長は以下のとおりです。

追加のボーリング調査なしで改良範囲の地盤性状を推定

地盤改良工事では、高品質な改良地盤を形成するために改良範囲の地盤を面的に把握する必要があります。従来は追加ボーリング調査を実施していましたが、センサーを取り付けた削孔機を用いる削孔検層地盤推定技術により、注入用の削孔と同時に地盤調査ができます。そのため、追加ボーリング調査を行わずに、注入作業前に全施工箇所の地盤性状が推定できます。

地盤改良工事の不具合発生を防止

事前に実施している土質調査や、削孔検層地盤推定技術で得られた地盤情報から3次元土層モデルを作成することで、設計地盤と実際の地盤との違いが把握できるため、改良不足や出来形不足といった不具合を防止できます。また、3次元土層モデルには設計時の情報の他、施工時の情報も格納できるため、施工記録の保存など、施工管理作業を効率化できます。

地盤変位量のリアルタイム自動計測により、計測・管理作業を省人化・省力化

高精度で常時自動計測が可能な回転式レーザーレベルで取得した地盤変位量と、施工時の注入圧力や注入量などの施工情報を管理サーバーで集約・連携することで、施工ステップごとの地盤変位量を管理することができます。注入作業は、複数台の注入機械を同時に使って施工することが一般的で、従来は注入機械1台ごとに2人の計測担当者が必要でしたが、本技術を採用することで、注入機械の台数にかかわらず2人で計測可能となり、省人化が図れます。

大林組は、空港・港湾施設などの重要構造物の液状化対策や耐震性向上に地盤改良施工管理システム「OGIMS」を積極的に活用することで、改良地盤の品質向上、計測管理の省人化・省力化を実現し、安全・安心なインフラの構築に貢献していきます。

  • ※1 削孔検層地盤推定技術
    センサーを取り付けた削孔機で削孔する際に得られる深度と回転トルクを回帰分析し、地盤改良工事の注入作業前に改良範囲の地盤性状を把握する技術
  • ※2 3次元可視化技術
    施工範囲の地盤情報や地盤変位量を3次元モデルにし、可視化する技術
  • ※3 施工状況連携技術
    地盤変位量をリアルタイムに自動計測する回転式レーザーレベルで得られた変位情報と、注入圧力などの注入情報を集約・管理する技術

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
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