Starlinkと自動充電ポート付きドローンを活用し、現場監理業務を80%削減
目視外で自律飛行するドローンシステムを開発し、官民研究開発投資拡大プログラムでA評価を獲得しました
-
プレスリリース
株式会社大林組
KDDIスマートドローン株式会社
株式会社大林組(本社:東京都港区、代表取締役社長:蓮輪賢治)とKDDIスマートドローン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:博野雅文)は、Starlinkと自動充電ポート付きドローンを活用し、現場監理業務を削減するシステムを開発し、実証実験を行いました。本実証実験は、官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM(プリズム))の「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に採択され、実施しているものです。
本実証実験では、自動充電ポート付きドローンが目視外で自律飛行し、建設現場および既存インフラの巡視、点検、計測、異常検知を自動で行うことができるドローンシステム(以下、本システム)の開発を行い、現場監理業務を80%削減できることを確認しました。この結果、2023年6月に国土交通省より、技術の導入効果や社会実装の実現性について高く評価され、最高評価であるA評価を獲得しました。
背景
国内における就労人口減少が顕著であることを受け、2022年6月に日本政府は4,000項目におよぶ「アナログ規制」の見直しについて発表しました。この中には、インフラ点検で目視規制を廃止することや、建築申請、現場巡視を定点カメラで代替することも含まれており、このような規制緩和に対応するため、2社は現場監理や施設管理における複数の業務を自律的に行うドローンシステムを2022年11月に共同で開発しました。
本実証実験について
概要
大林組とKDDIスマートドローンは2023年2月に三重県伊賀市の川上ダムに自動充電ポート付きドローンを設置し、本システムでドローンを自律飛行させることで、ダム建設における現場監理の効率化に資するかの検証を実施しました。
【実施内容】
- KDDI株式会社が提供する、Starlinkをバックホール回線(※1)としたauエリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」による通信環境の整備
- 自動充電ポート付きドローンによる、定期的な監視・測量フライトの実施
- 地震発生時を想定した、自動充電ポート付きドローンによるダムおよび貯水池の状況把握
- 撮影した写真を基にした3次元点群モデルの生成と大林組が活用するCPS(Cyber Physical System)(※2)での管理
- 撮影した画像のAI画像判定による建設現場の進捗状況判定
成果
建設現場および既存インフラの巡視、点検、計測、異常検知を自動で行うことができ、建設現場監理者の日常的な管理業務を大幅に削減できました。具体的には、従来であれば工事事務所からの移動時間も含めて345分かかる業務を、本システムを使えば60分で実施可能となり、80%の削減ができることを確認しました。
今後の取り組み
今後、全国の大規模建設現場への導入をめざし、本システムの検証を進めていきます。また本システムで複数のドローンを同時に管理する検証を実施する予定です。
大林組とKDDIスマートドローンは、今後もドローンの社会インフラ化に寄与する技術開発に取り組み、豊かでサステナブルな社会の創造をめざしていきます。
- ※1 バックホール回線
街などのau基地局と、基幹通信網との接続点である最寄りの拠点施設とをつなぐ中継回線のこと - ※2 CPS(Cyber Physical System)
現実世界(フィジカル)で取得したセンサー情報を、ネットワークを介して収集し、コンピュータ上に構築した仮想空間(サイバー空間)で処理・分析・解析・知識化する技術。また、そこから得られた情報・計算値・推論値を現実世界へ反映させるシステム
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
お問い合わせフォーム
プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。