大林組技術研究所内の雑木林が環境省の「自然共生サイト」に認定、30by30の達成に貢献

サステナビリティ

2023年10月6日、大林組技術研究所(東京都清瀬市)内の雑木林が、環境省の「自然共生サイト」に認定されました。

  • 大林組技術研究所の敷地内に広がる雑木林

「自然共生サイト」とは、30by30(サーティ・バイ・サーティ)(※1)を実現するために、環境省が2023年度から開始した「民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られている区域(※2)」を認定する事業です。122ヵ所(35都道府県)の多種多様な企業や団体が保有する緑地が環境大臣により初めて認定され、2023年10月25日に認定証授与式が行われました。自然共生サイトとして認定を受けた区域は、保護地区との重複を除き、生物多様性を長期的かつ効果的に保存することが可能な地域であるOECM(Other effective area-based conservation measures)(※3)として、国際データベースにも同時に登録されます。

  • 賞状を受け取る大林組執行役員の富岡(右)

大林組技術研究所では、生物多様性の保全を目的とした管理手法の検討を進めながら、1965年の開所前からの姿を残す雑木林や希少植物の保全を行っています。また、地域貢献として、地元の市民団体を招いた希少植物の観察会を2009年から毎年実施し、地域の方々との交流の場としても活用しています。

  • ドングリの木(コナラ・クヌギ)を中心とした雑木林の対象範囲は約1万6,000m²

  • かつて薪炭林として使われていた頃と同様に下草を刈ってある実験区

大林組技術研究所内の雑木林で自生する植物

  • キンラン(絶滅危惧Ⅱ類)

  • サイハイラン

  • ヤマユリ

  • リンドウ

点群データを用いたモニタリング

大林組技術研究所では現在、高性能LiDAR(※4)で取得した点群データを用いた雑木林の管理の研究を始めています。ソフトウェアの発展により、樹木を自動識別してIDを付与し、その分布を把握できるようになりました。IDごとに点群を消去し、特定の樹木を伐採した場合の林床の明るさをシミュレーションすることも可能です。

高性能LiDAR(RIEGL VZ-600i)を用いた樹林調査の様子
  • 高性能LiDARで得た点群データ。樹木の一本一本にIDが付与され、色分けして表示される

大林組は、今後も雑木林のモニタリングを続け、地域社会と連携しながら生態系の保全・再生に努めてまいります。

  • ※1 2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)という目標に向け、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標
    https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/
  • ※2 該当区域の開発は制限されているため、開発が必要な場合は届け出が必要となる。また、自然共生サイトの登録は、5年ごとの更新が予定されている
  • ※3 国立公園などの保護地区以外で生物多様性保全に資する地域
  • ※4 赤外線を照射し、物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を測定することで、物体までの距離や方向を測定する技術。反射したレーザー光はセンサーで無数の点として検知され、3次元形状を描くことで、対象物までの距離や位置、形状に加え、周囲の状況を正確に把握できる