東名リニューアル工事にて施工シミュレータ「GEN-VIR®」を活用

高速道路利用者への影響を最小限に、工事現場の作業効率向上と労働災害予防を図る

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、トヨタ自動車株式会社未来創生センター(所在地:愛知県豊田市、センター長:古賀伸彦)と共同で開発した施工シミュレータ「GEN-VIR(ゲンバー )」(※1)を東名リニューアル工事(東名多摩川橋)(※2)にて活用しています。今般、GEN-VIRに新たに追加された機能により、活用範囲をさらに拡大することで生産性向上と効果的な労働災害防止活動を実現しました。

GEN-VIRを活用した現場での労働災害防止活動

背景

本工事は、老朽化した東名高速道路多摩川橋のコンクリート床版を新たな床版に取り替える工事で、工事期間や交通規制、それに伴う交通渋滞など、高速道路利用者への影響を最小限に抑えることが求められます。一方で、限られた作業ヤード内に大型車両などの待機場所を確保しなければならず、車両の入退場時には作業員の待機時間が発生するなど施工効率の向上が課題となっていました。そこで大林組はトヨタ自動車と共同で開発したGEN-VIRを活用し、工程や作業員配置の最適化を進めています(※3)。

  

GEN-VIRに新たに実装した機能

最適な施工サイクルの提案機能

作業員の行動を記録・分析し、理論上最適な施工サイクルを算出し、提案する機能

リスクの見える化機能

作業中の動作に起因する労働災害や第三者災害などのリスクを分析し、バーチャル現場内に表示する機能

追加機能による施工改善

施工エリア内の車両配置、施工体制の最適化

本工事では高速道路上の作業ヤード内(全長495m)に施工エリアを4ヵ所設け、4班体制で施工していました。さらなる生産性向上をめざすため、施工エリアの一つ当たりの面積を広げて、その中に複数台の工事車両の待機場所を確保する3班体制への切り替えを検討しました。

今回、GEN-VIRのシミュレーションで、切り替えによる効率化が立証されたため、3班体制を現場に適用したところ、車両の入退場回数と作業員の待機時間が大幅に削減でき、当初施工計画に比べて1日当たりの施工時間が3時間20分(約17%)短縮されました。

当初施工計画とGEN-VIRでシミュレーションした施工計画(1施工エリアの例)
班体制
1日当たりの施工時間
車両入退場の回数
車両入退場に伴う待機時間
4班体制
19時間20分
32回
185分
3班体制
16時間00分
12回
15分
▲3時間20分
▲20回
▲170分

4班体制と3班体制の施工時間比較

最適な施工サイクルの提案機能による、より効率的な施工サイクル実現

橋梁のコンクリート床版を取り替える本工事は、同じ施工サイクルを繰り返し行います。施工サイクルの最適化が全体の施工時間の短縮に大きく寄与することから、GEN-VIRの新機能を活用して理論上の最適な施工サイクルを検討するとともに、実在の作業員の移動や休憩時間などの行動を記録、分析しました。その結果、作業員ごとに休憩時間のばらつき、作業工程の理解度や作業の熟練度の違いなどの複数要因が積み重なり、全体の作業効率に影響していることが分かり、それらの要因を施工計画に反映させることで施工サイクルの改善につなげることができました。

また、改善された施工サイクルを忠実に適用するため、現場ではトヨタ自動車のかんばん方式を参考に、作業員に色付きビブスを着用して工事にあたってもらいました。色別により誰がどこで何の作業をするかを相互に明確にし、より効率的な施工サイクルを実現しました。

ビブスを着用して各人の作業を明確化

リスクの見える化機能を活用した労働災害防止活動の実施

GEN-VIRはバーチャル現場内に作業上のリスクを表示、分析する機能があります。この機能を作業前の安全教育に利用することで、作業員全員がリスクを共有し、実際の現場で、リスクに備えた動作確認や安全対策に備えられます。現場関係者からは「文章や写真よりも具体的でイメージしやすい」「俯瞰視点から確認できるので危険な箇所が分かりやすい」といった声が上がるなど、作業上のリスク把握に効果がありました。

リスクの見える化(シミュレーションとリスク分析)

大林組はGEN-VIRを2024年度には複数の現場に導入し、生産性向上とリスクの見える化を図り、効率的、かつ安全な建設現場を構築することで、安全・安心なインフラの構築に貢献していきます。

以上


この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
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