木材を利用した鋼管柱の耐火被覆工法「O・Mega Wood Xコラム™」で90分耐火の大臣認定を取得

空間の木質化・部材のリユースなど木材の活用拡大により循環型社会を実現

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、木材を利用した鋼管柱の耐火被覆工法「O・Mega Wood X(オメガウッドエクス)コラム」を開発し、90分耐火構造(認定番号FP090CN-1010)の国土交通大臣認定を取得しました。

O・Mega Wood Xコラムを適用した内観イメージ

開発の背景

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、CO2を固定化できる木造建築や、構造躯体・内外装に木材を使う木質化のニーズが高まっています。鉄骨造の耐火建築物において柱・梁を木質化するには、従来、鉄骨にロックウール吹付などの耐火被覆を施し、表面仕上げに木材を用いますが、この耐火被覆材を木材に置き換えていくことが可能となれば、木材利用のさらなる促進が期待できます。

そこで大林組は、中高層建築で使用頻度の高い角形鋼管に、ヒノキやスギ(※1)のCLT・集成材を被覆し、その内側に強化石こうボードによる燃え止まり層(耐火層)を設けることで、木材使用量を増やしながら耐火構造を実現するO・Mega Wood Xコラムを開発しました。今回、90分耐火の大臣認定を取得したことにより、建物の最上階から9層分の範囲で同工法を鋼管柱に適用できます。

本工法の特長

機能性と施工性に優れた部材構成、解体後の木材リユース、リサイクルも可能

O・Mega Wood Xコラムは、耐火被覆を構成する材料をユニット化した「耐火被覆ユニット」を工場で製作し、現場ではビスで鋼管柱に固定します。

耐火被覆ユニットは、火災時には炭化層の断熱効果により0.6~0.8mm/分程度でゆっくり燃え進む「被覆木材」、燃え止まり層として機能する「強化石こうボード」、コーナーの木材突き合わせ部からの熱侵入を抑制するとともに建て方時のガイドになる「補強アングル」で構成されます。

工場で製作することで現場での施工時間短縮につながり、ビスのみの固定であるため解体も容易で、木材のリユース、リサイクルが可能です。また、表面に有機塗料を塗布することも可能で、半屋外などの耐候性が必要な空間でも適用できます。

O・Mega Wood Xコラムの構成

従来工法(ロックウール吹付+木仕上げ)と同等のコストで約5倍のCO2固定化が可能

被覆木材はそのまま仕上げ材に用いることができるため、ロックウール吹付の耐火被覆に木仕上げを施した従来工法と比較して、同等のコストで空間の木質化が可能です。また、高さ4mの角形鋼管柱に4面耐火被覆する場合、 CO2固定量は0.6tとなり、従来工法(約0.12t)の約5倍の効果があります。

従来工法(ロックウール吹付+木仕上げ)とO・Mega Wood Xコラムの断面図

今後の展望

大林組は、木材利用を促進する循環型ビジネスモデル「Circular Timber Construction®」(※2)を掲げ、木造・木質化建築の推進にとどまらず、木材のサプライチェーン強化や循環利用の強化に取り組んでいます。O・Mega Wood Xコラムは、木材の利用拡大につながる川中の循環強化と、建物解体後における木材のリユース、リサイクルによる川下の循環強化につながる工法です。

今後、大林グループのサイプレス・スナダヤ内外テクノスと共に、O・Mega Wood Xコラムの耐火被覆ユニットの生産性向上と機能向上に向けた改良を進めるほか、さまざまな用途に合わせたO・Mega Woodシリーズのラインアップ拡充を図り、木造・木質化建築の推進を通じて、脱炭素・循環・自然共生社会の実現に貢献していきます。

Circular Timber ConstructionにおけるO・Mega Wood Xコラムの適用効果
  • ※1 ヒノキやスギ
    認定番号FP090CN-1010でヒノキは認定済み。スギは今後認定取得予定
  • ※2 Circular Timber Construction®
    木造・木質化建築の推進にとどまらず、大林グループが保有する森林関連の事業実績やノウハウ・知見を活かし、国産木材に関する川上(植林・育林)から川中(加工・調達)、川下(建設、発電、リユース、リサイクル)まで、素材生産~製材~利用~植林という循環サイクル全体を持続可能で最適なものにする循環型ビジネスモデル

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報課
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