大林組は第2回サステナビリティ・リンク・ボンドを発行します
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サステナビリティ
大林組は、国内社債市場における公募形式によりサステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)を発行する予定であり、本発行に向けた社債の訂正発行登録書を関東財務局長に提出しました。本発行は、2022年3月に策定した「大林組サステナビリティ・リンク・ファイナンス・フレームワーク」による大林組2回目(※1)のSLBです。フレームワークの適合性は、株式会社格付投資情報センター(R&I)からセカンドオピニオンを取得しています。
SLBとは、あらかじめ定められたサステナビリティ・ESGの目標を達成するか否かによって条件が変化する債券をいいます。具体的には、SLBの発行体が、あらかじめ定めた時間軸の中で、将来の持続可能性に関する成果の改善にコミットし、発行体が定めたKPIsに関して達成すべき目標数値として設定したサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(以下、SPTs)を達成したかどうかによって、債券の条件が変化します。
大林グループでは2030年度の温室効果ガス排出削減目標について、2022年10月にSBT(Science Based Targets)(※2)イニシアチブの認定を取得しています。本発行におけるKPIsは、大林グループのサステナビリティへの取り組みの重要な柱である「脱炭素の達成」に強くコミットするとともに、その進捗を計測する適切な指標と考えています。
大林組サステナビリティ・リンク・ボンドの概要
発行年限 | 5年 | |||
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発行額 | 200億円(予定) | |||
発行時期 | 2024年6月以降(予定) | |||
KPIs | KPI 1:大林グループのScope1+2におけるCO2削減率 KPI 2:大林グループのScope3(カテゴリ1及び11)におけるCO2削減率 |
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SPTs | SPT 1:Scope1+2の2027年度におけるCO2排出量33.6%削減(2019年度比) 判定対象年度:2027年度、判定日:2028年10月末 |
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SPT 2:Scope3(カテゴリ1及び11)の2027年度におけるCO2排出量20.0%削減(2019年度比) 判定対象年度:2027年度、判定日:2028年10月末 |
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債券の特性 | 各SPTを達成することができなかった場合、判定日後に、社債発行額の0.1%を、環境保全活動を目的とする公益社団法人・公益財団法人・国際機関・自治体認定NPO法人・地方自治体やそれに準じた組織に対して寄付を行い、本社債の償還までに完了します。なお、SPT1が未達成の場合は社債発行額の0.07%を、SPT2が未達成の場合は社債発行額の0.03%を寄付します。 | |||
主幹事 | 野村證券株式会社(事務)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 | |||
ストラクチャリング・エージェント(※3) | 野村證券株式会社 |
これまでのKPIs進捗と、本発行におけるSPTs設定について
KPIsにおけるこれまでの進捗および2030年度に向けた各年度削減率目標は以下です。
「大林組サステナビリティ・リンク・ファイナンス・フレームワーク(2022年3月策定)」では、Scope1+2・Scope3(※4)の各年度削減率目標を、基準年度である2019年度実績と目標年度の2030年度目標の間を線形補間で算出しています。本発行では年限に合わせて2027年度目標をSPTsに採用します。
年度 | 2019 (基準年) |
2020 | 2021 | 2022 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | |||
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実績 | 目標 | ||||||||||||
Scope1+2 | CO2排出量(t-CO2) | 378,000 | 330,000 | 370,000 | 286,000 | 282,709 | 266,827 | 250,945 | 235,064 | 219,182 | 203,300 | ||
CO2排出削減量(t-CO2) 2019年度比 |
- | 48,000 | 8,000 | 92,000 | 95,300 | 111,200 | 127,100 | 142,900 | 158,800 | 174,700 | |||
CO2排出削減割合(%) 2019年度比 |
- | 12.7% | 2.1% | 24.3% | 25.2% | 29.4% | 33.6% | 37.8% | 42.0% | 46.2% | |||
Scope3 | CO2排出量(t-CO2) | 4,588,000 | 4,048,000 | 3,070,000 | 3,783,000 | 3,899,800 | 3,785,100 | 3,670,400 | 3,555,700 | 3,441,800 | 3,326,300 | ||
CO2排出削減量(t-CO2) 2019年度比 |
- | 540,000 | 1,518,000 | 805,000 | 688,200 | 802,900 | 917,600 | 1,032,300 | 1,147,000 | 1,261,700 | |||
CO2排出削減割合(%) 2019年度比 |
- | 11.8% | 33.1% | 17.5% | 15.0% | 17.5% | 20.0% | 22.5% | 25.0% | 27.5% |
2022年度は、Scope1+2削減率が24.3%(2019年度比)、Scope3(カテゴリ1及び11)削減率が17.5%(2019年度比)となりました。
さまざまな取り組みによって2022年度までのCO2排出量は目標に沿った削減が進んでいますが、大林グループでは中期経営計画2022「事業基盤の強化と変革の実践」で掲げる基本戦略に沿って、連結営業利益1,000億円をボトムラインとして安定的に利益を創出できる事業基盤を構築するとともに、計画期間内のさらなる収益向上の実現をめざしており、2023年度以降の排出量見通しは売上増加や事業規模拡大の影響が見込まれます。
このような背景のもと、2030年度目標に向けた「脱炭素の達成」にはこれまで以上の強いコミットが必要であると認識しており、2027年度削減率目標をSPTsに設定することは、引き続き野心性を維持した目標であると考えています。
- ※1 1回目のSLBに関する詳細はこちらをご参照ください
大林組サステナビリティ・リンク・ボンド - ※2 SBT
パリ協定(世界の気温上昇を産業革命以前より2℃を十分に下回る水準(well-below 2℃)に保ち、さらに1.5℃に抑えることをめざすもの)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことです - ※3 ストラクチャリング・エージェント
フレームワークの策定やセカンドオピニオンの取得への助言などを通じて、ESG債発行の支援を行う者を指します - ※4 Scope1、2、3
国際的な温室効果ガス排出量の算定と報告の基準として開発された「GHGプロトコル」で定められた温室効果ガス排出の区分を指します
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:Scope1、2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)