南山大学におけるキャンパス保存再生の取り組みが日本建築学会賞を受賞

サステナビリティ

創建時の姿によみがえった赤土色の校舎と豊かな自然が交互に配置されたキャンパス(©滝田フォトアトリエ)

大林組が改修工事を行った南山大学での取り組みが、2024年日本建築学会賞(業績部門)を受賞しました。日本建築学会賞は、建築に関する学術・技術・芸術の進歩に寄与する優れた作品、技術、業績などを表彰しています。

南山大学キャンパスは、1964年に建築家アントニン・レーモンド氏の設計により創建されたモダニズム建築です。南山大学では、レーモンド氏の設計思想が貴重な文化遺産であると考え、2017年に「レーモンド・リノベーション・プロジェクト」を立ち上げ、建物を解体せずに、当初のマスタープランを活かして改修を行いました。

キャンパスは、「自然を基本にして」という創建時の設計思想のもと各棟の間には緑地が配置されるなど、自然採光・通風に配慮されています。改修では、外観デザインの大きな変更を避け、意匠的な価値を維持しながら、複層ガラスや全熱交換機による換気設備といった現代の環境配慮技術を多数導入し、建物の省エネルギー化も図っています。

今回の受賞では主に以下の点が高く評価されました。

  • 重要文化財(建造物)保存活用計画策定指針をはじめとする国内外の保存に関する指針にそってガイドラインを定め、きめ細やかに改修方針を決定したこと
  • 大学と企業との長年にわたる連携により、設計・技術・施工を高レベルで統合し、保存再生の実現に結びつけたこと
  • 改修記録を広く学内外に発信することで、保存再生への思想を継承したこと
  • 今後の大学キャンパスにおける建築文化の継承モデルを提示したこと
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構造体の梁を見せるデザインを継承しながら耐震補強を実施。改修前の状況を把握するため、3D測量を行い3DCADデータに変換
  • ゾーニングの変更によりアクセシビリティが向上した図書館閲覧室

  • レーモンド氏がデザインした壁面レリーフが創建当時のまま残るグリーンエリア

【2024日本建築学会賞(業績部門)受賞概要】

名称 南山大学におけるモダニズム建築群の保存再生と大学キャンパスの成長デザインへの取り組み
所在地 愛知県名古屋市昭和区
所有 南山大学
設計 日本設計、大林組
施工 大林組

大林組はこれからも、価値ある建築物を最新の技術と経験で保存再生し、貴重な文化遺産が長く次世代に受け継がれるよう取り組んでまいります。