「南海トラフ巨大地震」を想定した震災訓練の実施

就業時間外の発災を想定した初動対応および拠点間連携の確認と課題抽出

サステナビリティ

大林組は、5月17日に「南海トラフ巨大地震」により東海、近畿、山陽、四国、九州地方で最大震度7を観測し、沿岸部で大津波が発生するなど、広範囲に甚大な被害が発生したと想定した全店連携震災訓練を実施しました。

地震の発生は就業時間外の午前7時と想定し、大阪本店、名古屋支店、広島支店、四国支店(以下、被災店)では、対策本部の設置および被害状況の把握などの初動対応訓練を実施しました。

また、本社を含む被災店以外の本支店(以下、支援店)では、被災店からの情報に基づいた支援訓練を実施しました。

今回の訓練は、安否確認や津波による浸水を想定した避難訓練の実施者を含め、大林グループ21社の国内全事業所の役職員約1万6,000人(社外協力スタッフを含む)と協力会社998社が参加しました。

訓練当日の震災対策会議

実施した主な訓練事項

今回の訓練では、被災店所在地域における社会インフラに甚大な被害が発生し、情報共有の要となるインターネット回線にも支障が発生していると想定しました。そのような状況下、各拠点に対策本部を設置して従業員の安否や工事事務所・物流拠点などの被害および稼働状況を確認し、その情報を速やかに全店に共有する訓練を行いました。

また、訓練日に先立って、顧客からの要請に基づく支援をはじめとするさまざまな訓練を実施しました。

被災店および支援店の初動対応訓練

被災店では、発災後、平時の電力やインターネット回線などが利用できない状況下、速やかに現地対策本部を設置したうえで、非常用電源および昨年新たに導入した衛星通信サービス「Starlink Business(スターリンクビジネス)」によるインターネット通信を用いて、被害状況や支援要請を本社に設置した災害対策本部に報告しました。

支援店では、災害対策本部から共有された被災店からの支援要請に基づき、被災店の従業員の安否確認、工事事務所・協力会社の被害状況確認などを行いました。

初動対応要員の訓練状況

全店震災対策会議による拠点間連携訓練

災害発生後3時間を想定し、その時点における各拠点の体制、工事事務所・物流拠点などの被害および稼働状況、ならびに顧客などへの連絡体制を共有するための全店震災対策会議を実施しました。

被災店では、一般的な通信が使用できない想定の中、衛星通信サービス「Starlink Business」などの非常用通信機器を用いて会議に参加し、各拠点の状況報告を行いました。

会議を通じて、被災店と支援店の間で初動対応に必要な被災店の体制や復旧に必要な支援要員・物資の流れなどの情報を速やかに共有するための拠点間連携訓練を実施しました。

  • 全店震災対策会議(四国支店)

  • 全店震災対策会議(名古屋支店)

物流拠点における支援物資の調達・輸送訓練

災害時の物流拠点となる東日本ロボティクスセンター(埼玉県川越市)、西日本ロボティクスセンター(大阪府枚方市)などが広域レンタル会社と共同して、支援要請物資の調達訓練を行いました。

また、各店においても調達した支援物資を速やかに被災地へ輸送するための交通手段や輸送ルートの検討および輸送訓練を運送会社と連携し、実施しました。

一例として、本州・四国間の連絡橋が寸断したことを想定し、四国以外からの物資調達を目的に広島支店から船舶と緊急通行車両を用いて高知県までの物資輸送訓練を実施しました。

  • 西日本ロボティクスセンターでの支援物資の積み込みおよび輸送訓練

  • 広島支店、四国支店合同の船舶による支援物資の輸送訓練

津波による浸水を想定した避難訓練など

支店や工事事務所などにおいて、ハザードマップを活用して災害リスクを確認しました。津波による浸水想定エリアに所在する事業所では、大林組従業員だけでなく作業員も含めた避難訓練を実施しました。

また、全従業員一人ひとりがハザードマップなどを活用して、平時から行うこととしている「居住地や勤務地の災害リスク」と「家族との避難場所や待ち合わせ場所」の確認を今回訓練で改めて実施しました。

津波浸水エリアの工事事務所での避難訓練(四国支店)

グループ会社との連携訓練

グループ会社21社では、発災後の速やかな安否確認、自社施設被害状況の確認を実施し、大林組と被害情報の共有を行いました。また、各グループ会社は各社が策定したBCPに基づき震災訓練を計画実施しています。

大林新星和不動産では所管する全ての不動産において、自社施設被害状況報告システムを用いた状況報告訓練を実施し、緊急時の大林組開発事業本部との連絡体制を確認しました。一部の保有ビルでは、大林組と大林新星和不動産の応急危険度判定士が共同し、テナント企業と災害時の建物危険度の判定手順やポイントの確認を実施しています。

応急危険度判定士とテナント企業による建物危険度の確認

また、災害時における一時避難施設として、自治体へビル内の一部施設の提供を取り決めている保有ビルにおいては、定期的に備蓄品の点検と見直しを実施し、災害発生時には速やかに地域に貢献できる体制を整備しています。

課題と対応策の共有を目的とした総括会議

震災訓練後の5月31日には全店震災訓練総括会議を実施し、各拠点やグループ会社から震災訓練での課題やその対応策の報告が行われ、大林組社長の蓮輪から総括がありました。

今回の震災訓練を通じて明らかになった課題については、PDCAサイクルを適切に回すことで、当社BCPのさらなる改善に取り組んでいきます。

大林組は、今後も建設業の使命として、また企業市民として地域、社会に貢献するため、経営資源を有効に活用して災害に対する備えと復旧・復興に取り組んでいきます。

震災訓練総括会議