ウイング付きボックスカルバートのBIM/CIM配筋モデル自動生成ツールを開発
属性情報を含んだ多様な形状の3次元配筋モデルを自動生成
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技術・ソリューション
大林組は、株式会社建設技術研究所と八千代エンジニヤリング株式会社との3社共同で、開発済みのボックスカルバートBIM/CIM配筋モデル自動生成ツールの機能を拡張し、ウイング付きボックスカルバートへの対応と、属性の自動付与や鉄筋数量の自動算出機能を追加し、さらなる省力化と生産性向上を実現しました。
土木工事現場ではBIM/CIMモデルの活用が進んでいますが、モデル構築に多大な時間を要することや、3次元化の効果が可視化のみになっていることが課題でした。そこで3社は3次元CADソフトを操作することなく、パラメータ(※1)の入力によりボックスカルバートのBIM/CIM配筋モデルを自動生成できるツールを2022年に開発し、省力化および安全で高品質な施工を実現しています。
今回、本ツールの機能拡張により、縦断勾配・斜角・ウイングといった複雑な躯体形状や鉄筋配置に対応し、さらなる活用が可能になりました。また、属性付与と鉄筋数量の自動算出機能も追加しており、生産性向上に大きく貢献します。本ツールの活用により、既存の3次元CADと比較して10分の1程度の作業時間でモデリングでき、大幅な省力化を実現します。
今回実装した本ツールの特長は以下のとおりです。
多様な躯体形状や鉄筋配置に対応
縦断勾配やボックスカルバート出入口の斜角、ウイング・地覆(じふく)など、一般的なボックスカルバートに必要とされる形状に対応しました。配筋に関しては、主筋の2段配置や鉄筋継手方式の選択、せん断補強筋の反転配置など、一般的に用いられる鉄筋形状・配置に対応しました。適用できる条件が増えたことで、本ツールのさらなる活用が可能となります。



属性の自動付与、追加付与
鉄筋名称や鉄筋径、鉄筋長さなどの基本的な属性情報は、モデル作成時の情報により自動的に付与されます。また、モデル作成後に手動で属性を付与する機能も追加。コンクリート打設時の品質管理記録などの施工時情報や、維持管理における補修履歴などを後から追加することが可能です。

鉄筋数量の自動算出
モデル作成時の鉄筋形状に関する情報を用いることで、鉄筋径ごとの鉄筋重量および継手箇所数を自動算出することが可能です。煩雑な手作業を極力なくすことで、ミスを防止し、生産性向上に貢献します。
3社は、今後も建設プロセスの各段階を一元的に管理・連携するBIM/CIMの取り組みとして、3次元設計の標準化に有効なツールを開発します。また、顧客満足のさらなる向上と建設業界の生産性および品質の向上に寄与し、インフラ分野のDXを推進していきます。
- ※1 パラメータ(parameters)
ソフトウェアやシステムの挙動に影響を与える、外部から投入されるデータ