「南海トラフ巨大地震」を想定した震災訓練の実施
就業時間外の発災を想定した拠点間連携の確認と課題抽出
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サステナビリティ
大林組は、「南海トラフ巨大地震」により東海、近畿地方で最大震度7を観測し、沿岸部で津波と地震による被害などが発生した後、気象庁から「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」が発表されたと想定した全店連携震災訓練を、5月12日に実施しました。
本社・東京本店、大阪本店、名古屋支店(以下、被災店)では、就業時間外である午前7時に地震が発生したと想定し、対策本部の設置および被害状況の把握などの初動対応訓練を実施しました。
また、本社および被災店以外の各支店(以下、支援店)では、被災店からの被害情報に基づいた支援訓練を実施しました。
今回の訓練は、安否確認や津波による浸水を想定した避難訓練の実施者を含め、大林グループ20社の国内全事業所の役職員約1万9,500人(社外協力スタッフを含む)、国内の事業所993施設、協力会社964社が参加しました。

実施した主な訓練事項
今回の訓練では、被災店所在地域における社会インフラに甚大な被害が発生し、情報共有の要となるインターネット回線にも支障が発生している想定としました。そのような状況下で各拠点は対策本部を設置し、従業員の安否や工事事務所・物流拠点などの被害および稼働状況を確認し、その情報を速やかに全店に共有する訓練を行いました。
また、訓練当日に先立って、顧客からの要請に基づく支援訓練や物資の輸送訓練など、さまざまな訓練を実施しました。
被災店および支援店の初動対応訓練
被災店では、発災後、速やかに現地対策本部を設置し、平時の電力やインターネット回線などが利用できない状況下、非常用電源および衛星通信サービス「Starlink Business(スターリンクビジネス)」を用いたインターネット通信で被害状況などの把握を行いました。
支援店では、災害対策本部から共有された被災店からの支援要請に基づいて、被災店の従業員の安否確認、工事事務所・協力会社の被害状況確認などを行いました。

全店震災対策会議による拠点間連携訓練
災害発生後3時間を想定し、その時点における各拠点の体制、工事事務所・物流拠点などの被害および稼働状況、ならびに顧客などへの連絡体制を共有するための震災対策会議を実施しました。
被災店は、一般的な通信が使用できない想定の中、非常用通信機器を用いて会議に参加し、各拠点の状況報告を行いました。
会議を通じて、被災店と支援店の間で初動対応に必要な被災店の体制や、復旧に必要な支援要員・物資の流れなどの情報を速やかに共有するための拠点間連携訓練を実施しました。
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全店震災対策会議(名古屋支店)
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全店震災対策会議(大阪本店)
物流拠点における支援物資の調達・輸送訓練
災害時の物流拠点となる東日本ロボティクスセンター(埼玉県川越市)、西日本ロボティクスセンター(大阪府枚方市)などが広域レンタル会社と共同して、支援要請物資の調達訓練を行いました。
また、各店においても調達した支援物資を速やかに被災地へ輸送するための交通手段や輸送ルートの検討および輸送訓練を運送会社や船舶会社と連携し、実施しました。
一例として、四国支店から和歌山県までの陸路および海路を用いた物資輸送訓練を、西日本ロボティクスセンターと大阪本店が連携して実施しました。


津波による浸水を想定した避難訓練など
本支店や工事事務所などにおいては、各自治体が公表するハザードマップを活用して、各事業所における災害リスクを確認しました。津波による浸水想定エリアに所在する事業所では、大林組従業員だけでなく作業員も含めた避難訓練を実施しました。また、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表された際の事前避難対象地域に所在する工事事務所では、一時的に業務を中断して避難するなどの初動対応手順を確認しました。
また、全従業員一人ひとりがハザードマップなどを活用して、平時から行うこととしている「居住地や勤務地の災害リスク」と「家族との避難場所や待ち合わせ場所」の確認を、今回の訓練で改めて実施しました。
時間内発災を想定した初動対応訓練など
本社・東京本店において大規模地震が就業時間内に発生した場合には、東京都の帰宅困難者対策条例に基づき、発災から72時間(最大3日間)程度は社内で待機する必要があります。そのため本社・東京本店では、震災訓練に合わせて来客者への対応、備蓄品の配布、徒歩帰宅希望者への支援などの初動対応訓練を実施しました。
グループ会社との連携訓練
グループ会社20社は発災後、速やかな安否確認、自社施設被害状況の確認を実施し、大林組と被害情報の共有を実施しました。また、各グループ会社はそれぞれが策定したBCPに基づき、震災訓練を計画・実施しています。
大林新星和不動産は大林組開発事業本部と連携し、所管する全ての不動産物件において、被害状況確認システムを用いての訓練を実施しました。「オーク堺筋本町ビル」においては、ビル管理会社と協働して、被災時初動対応訓練を実施し、その他保有物件については、自衛消防訓練を実施しました。

課題と対応策の共有を目的とした総括会議
今回の震災訓練後の5月28日には全店震災訓練総括会議を実施し、各拠点、グループ会社、災害対策本部の総務班・建築班・土木班・技術調査チームからそれぞれ震災訓練での課題やその対応策の報告が行われ、大林組社長の佐藤からその総括を行いました。
今回の震災訓練を通じて明らかになった課題については、PDCAサイクルを適切に回すことで、大林組BCPのさらなる改善に取り組んでいきます。
大林組は、今後も建設業の使命として、また企業市民として地域、社会に貢献するため、経営資源を有効に活用して災害に対する備えと、社会インフラが被害に遭った場合の復旧・復興に取り組んでいきます。
