山岳トンネルやダムで使用する火薬類のデジタル帳票を開発
紙から「eYACHO」によるスマート管理で帳票作成時間を75%削減します
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技術・ソリューション
大林組は、株式会社MetaMoJiと共同で、施工管理アプリ「eYACHO(イーヤチョウ)(※1)」を活用し、建設現場で使用される火薬類のデジタル帳票を開発しました。これにより、帳票作成時間を従来に比べ75%削減しました。
開発の背景
山岳トンネルやダム工事では、岩盤掘削に火薬類を用いた発破を行うことがあります。火薬類は、火薬取締法の枠組に基づき、業界団体が自主的に定めた管理基準に従って、多くの種類の伝票や帳簿などの火薬類管理帳票を用いて安全に管理されています。従来は、経験と資格を持つ技術者・技能労働者が火薬類の保管場所や使用場所などの複数箇所でのやり取り全てを紙の帳票に手書きし、カーボン複写で記録して、サイン・捺印で確認・承認する管理が行われてきました。
そこで、近年の人手不足や業務効率化の必要性を背景に、建設現場で利用できる火薬類のデジタル帳票を開発しました。
本デジタル帳票の特長
施工管理アプリ「eYACHO」をベースとした帳票
本デジタル帳票は、タブレット端末などでペーパーレス化とクラウドによる情報共有を可能にする施工管理アプリ「eYACHO」を基盤としています。この「eYACHO」上で、19種類の火薬類管理帳票をデジタル化しました。
円滑な移行と管理の効率化
帳票の書式は、日本建設業連合会が定める「火薬類管理自主基準」に基づいており、従来の紙帳票から違和感なく移行できます。
また、基本入力フォームに記入するだけで、チェック済みデータが各帳票へ転記される仕組みとなっており、帳票作成者の利便性を向上し、技術者・技能労働者の負担軽減に寄与します。これにより帳票作成時間を75%削減し、各帳票への転記ミス、計算ミスといったヒューマンエラーも防止できることを試行により確認しました。
情報共有の迅速化、安全性の向上
入力データはクラウド上で管理され、リアルタイムに承認・閲覧が可能です。紙での持ち運びが不要となり、関係者間での情報共有を効率化します。また、セキュリティ、トレーサビリティの向上により、法律で定められた保存期間に対応した適切なデータ管理を実現します。
今後の展望
本デジタル帳票は3つの現場で試行され、生産性向上に寄与することが確認されました。国土交通省の掲げるi-Construction2.0(※2)が目指すデジタル化・ペーパーレス化に貢献し、火薬使用量などのデータを施工管理に活用できることから、大林組は今後、火薬類を用いる新規現場に標準導入することで、建設工事におけるDX化を推進していきます。
- ※1 eYACHO
株式会社MetaMoJiが、建設業界で用いられる「野帳」をベースに大林組と共同開発した建設業界向けアプリ。施工管理業務のノウハウや課題解決手法を取り込み、手書きで利用でき、図面や資料のペーパーレス化、リアルタイム共有機能を整備。遠隔地間でのコミュニケーションなど、従来の野帳の手軽さはそのままに、デジタルの特性を生かした管理機能により、発売以来750社、7.5万人以上に利用されている - ※2 i-Construction2.0
2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍向上することを目指し、「施工のオートメーション化」、「データ連携のオートメーション化」、「施工管理のオートメーション化」を3本の柱として、建設現場で働く一人ひとりが生み出す価値を向上し、少ない人数で、安全に、快適な環境で働く生産性の高い建設現場の実現を目指す、建設現場のオートメーション化の取り組み
「i-Construction 2.0」を策定しました ~建設現場のオートメーション化による生産性向上(省人化)~
(国土交通省ウェブサイト)