大和文華館が第22回BELCA賞を受賞

自然との調和、伝統的なたたずまいを活かした美術館を後世へ

サステナビリティ

大和文華館本館全景
桃山時代の城郭をイメージさせる「なまこ壁」を補修し、創建当時の美しさを復元

ロングライフビル推進協会が主催する第22回BELCA賞において、大林組が2010年に改修した大和文華館(奈良県奈良市)がベストリフォーム部門で表彰されました。

BELCA賞は建築後30年以上が経過した建築物を対象とし、適切な維持保全や優れた改修を行った物件を表彰するものです。ベストリフォーム部門は改修後1年以上5年未満の建築物が対象で、改修によって画期的な活性化を図った建築物が毎年表彰されています。

1960(昭和35)年に完成した大和文華館は、自然との調和を重視した「鑑賞のための美術館、美のための美術館」との理念のもと、建築家・吉田五十八(よしだ・いそや)が設計。そして50年後、創建当時の理念と設計を尊重しながら、より良い展示空間、鑑賞環境になるよう大改修が行われました。耐震補強では、所蔵美術品に影響を与えない工法として3Q-Wall(サンキューウォール)3Q-Brace(サンキューブレース) を採用しました。

今回の受賞では、仕上げや耐震、空調設備などの改修をしながら初期の姿を再現し、半世紀を経てリニューアルをしても素晴らしい建築になる好例を示したことが高く評価されました。

大林組はこれからも、技術開発や適切なメンテナンス、リニューアルによって優れた建築物が長く次世代に受け継がれるよう取り組んでまいります。

講堂壁面の縦格子

大和文華館の建築美を代表する、講堂壁面の縦格子。何本もの木材を組み合わせた繊細な意匠を保存・活用しながら、照明や音響設備を更新しました。明かり漏れ、音漏れ対策も行い、機能の向上を図っています

文化庁公開承認を取得した展示室

展示室は、空気の質、照明、温湿度環境などを向上させ、重要文化財などの公開にふさわしい施設として「文化庁公開承認」を取得。アプローチから建物内部の展示室に至るまで、バリアフリー化を実現しました

大和文華館 改修 概要 
竣工:1960(昭和35)年
改修:2010(平成22)年
所有:近畿日本鉄道
設計:プレイスメディア、大林組
施工:大林組