ディーアイシービルの解体に「キューブカット工法」を適用

高層ビルを切断して解体。速く、静かに、地震時にも安全な工法を導入

最新情報

大林組は、中層ビルから超高層ビルまで幅広い建物の解体に適用可能であり、周辺環境への配慮と工期短縮を両立した「キューブカット工法」を、東京都中央区のディーアイシービルの解体工事に適用しました。

近年、日本では高層ビルの老朽化が進み、築30年を経過した10階建て以上の非木造建築の建物は8,000棟弱に上るなど、改修だけでなく解体・建て替えの需要が増加しています。

一般的にビルを解体する場合、圧砕用重機を建物に載せ、上部から一層ごとに解体する工法が採用されています。しかし、建物が密集する都心部の高層ビルを解体する場合には、圧砕用の重機の上載や解体材の荷降ろしなどの揚重方法が課題であるとともに、常に建物の頂部で重機を用いることで騒音や振動、粉じんが発生し、周辺環境への影響もあります。さらには高所作業による落下の危険性、地震時における耐震性の確保など、さまざまな環境に配慮した徹底すべき事項が増えてきています。

今回採用した「キューブカット工法」は、床、梁、柱を圧砕せずに部材ごとにすべて切断してタワークレーンで地上に下ろし、地上にて分別処理することで騒音や振動、粉じんの発生を大幅に低減させています。また、クレーン作業の効率化を図るために先行で切断作業を進めながら、切断された部材の地震時の安全を確保するなど、短工期化と安全性の両立を実現する大林組独自の解体工法です。

さらに今回のシステムには、防音・防じん機能を向上させるため、仮設足場を最上階から3階程度を外部に配置し、「ラック&ピニオン方式(※1)」を採用した自動昇降機能を追加しました。その結果、タワークレーンを使用することなく、工事用エレベーターのモーターを転用した昇降装置を組み込んで、解体の進捗に合わせてユニットごとに部分的に足場を降下することが可能となりました。これらの対策を行うことで1フロア5日の短工期を実現しております。

周辺環境に配慮して、騒音・振動の小さいロードカッターなどを用いて部材ごとに切断

周辺環境に配慮して、騒音・振動の小さいロードカッターなどを用いて部材ごとに切断

昇降機能を組み込んだ仮設足場で短工期が実現

昇降機能を組み込んだ仮設足場で短工期が実現

「キューブカット工法」の特長は以下のとおりです。

  1. 周辺環境への配慮

    今回の工法では、解体の大部分を占める切断作業にロードカッターなどの騒音・振動の小さい機械を用いており、建物最上階にて圧砕用重機を使わないため、振動はほとんどなくなり、騒音エネルギー総量は、従来工法に比べて約4分の1になります。
    また、定置式で電動駆動であるタワークレーンを使用することにより、軽油を使用する圧砕用重機に比べて、二酸化炭素(CO2)の排出量を約4割削減できます。

  2. 1フロア5日の短工期化

    構造体の解体を打撃や落下を伴わない静的な作業としたため、下階で並行して内装・設備配管類解体と床スラブの先行切断ができます。さらに、重機の上載がないので支保工も削減して移設作業が行えるようになり、各工程を同時に進めることが可能で全体工期を短縮しています。
    また、1フロア当たりの解体日数も、耐震安全性を確保しながら、先行で柱と梁の切断作業を進め、クレーン作業の効率化を図るキューブカット工法の特長により、5日間という短工期化を実現しました。高さ60m以上の建物であれば、従来工法と比較して15%以上の工期短縮効果が期待できます。

  3. 地震時の高い安全性

    解体中の柱、梁に対して地震への倒壊防止対策を施し、地震時に解体階のせん断耐力(※2)を確保する解体手順としています。基本的にコア部の柱にて、せん断耐力を保持する計画としているため、高い安全性が期待できます。

  4. コスト

    高さ60m以上の建物であれば従来工法と同程度のコストで施工可能です。

大林組は、今後も解体工事における周辺環境へ配慮を徹底するとともに、短工期で安全性の高い本工法を、お客様へ積極的に提案していきます。

キューブカット工法で解体中のディーアイシービル


  • ※1 ラック&ピニオン方式
    歯車の一種で、回転力を直線の動きに変換する。ピニオンとよばれる小口径の円形歯車に、回転力を加えると、(歯が付けられた)ラックが水平方向に動く
  • ※2 せん断耐力
    構造物を構成する各種部材がさまざまな荷重作用を受けて破壊に至るとき、せん断力の作用により決まる耐力のことをいう