
地上から9階までが緩やかな段丘状に続く屋上緑化庭園は、商業施設として国内最大規模を誇ります
5月30日、2016年日本建築学会総会において、大林組、南海電気鉄道、高島屋が共に行っている複合商業施設「なんばパークス」(大阪市浪速区)での取り組みが、建築に関する学術・技術・芸術などの進歩に寄与した優れた業績として、日本建築学会賞(業績)を受賞しました。
表彰式では受賞者を代表して南海電気鉄道 取締役の井上努氏が表彰状を授与されました(右)
なんばパークスでのにぎわいの様子を動画で紹介しています。クリックで建築設計プロジェクトサイト「NAMBA PROJECT」
なんばパークスは、かつて南海ホークスのホームグラウンドであった大阪球場跡地に、2003年に開業しました。
約1万1500m²のほぼ半分を緑で覆った屋上庭園は、都市の真ん中に出現した大地のように広がり人々を迎え入れます。屋上庭園には、約500種、約10万株の樹木・草花を育成しており、都市に居ながら自然を感じることができます。
今回の受賞では3つの点が評価されました。
利用者が商業施設と庭園とを自由に出入りでき、常に自然と触れ合えるような、店舗と緑地の新しいあり方を示したこと
都市での自然環境との共生や環境負荷の低減を図るとともに、その改善効果を継続的にモニタリングしていること
自然と人が触れ合い、人々が集う緑地空間を活用するため、専属スタッフが10年以上にわたり運営管理を行っていること
選定理由の結びでは、かつてない屋上庭園のあり方を示すものであり、新たな街づくりの拠点としての成長が期待されていると総評されました。
【日本建築学会賞(業績)概要】
業績名:大規模な段丘状屋上庭園を持つ商業施設における環境共生の実現
および賑わいを創出する都市空間の構築とその持続的運用
受賞者:大林組、南海電気鉄道、高島屋
大林組はこれからも、都市の中に人と生き物が共存する場をつくることで、生態系保全や都市環境の改善、コミュニケーション拠点の創出などを行い、環境共生とにぎわいを実現する新たな街づくりに貢献してまいります。
なんばパークスでの環境共生とにぎわい創出の取り組み
商業施設を訪れる人が緑に触れ、新しい発見のできる場所を整備。地域に向けたイベントの開催や営業時間内に行う専属スタッフ(ガーデナー)による植栽管理、貸し菜園の運営などを実施
緑が都市環境にもたらす効果を確認するため、サーモグラフィーによる熱環境評価をはじめ、夏の微気候(樹林による冷却)、省エネルギー、二酸化炭素(CO2)固定などを継続的に調査
鳥類34種、昆虫類152種の豊かな生き物環境を形成。写真左から、コサメビタキ(大阪府指定絶滅危惧Ⅱ類)、センダイムシクイ(同準絶滅危惧)、ウスイロササキリ、オオシオカラトンボ