オメガウッドを活用した木造工場が第2回ウッドデザイン賞を受賞

森林資源の循環で自産自消を実現した三重県・眞栄熊野作業所

サステナビリティ

眞栄が育てたスギやヒノキで建設した熊野作業所。13m×38mの無柱空間を実現しました

眞栄が育てたスギやヒノキで建設した熊野作業所。13m×38mの無柱空間を実現しました

大林組が設計施工を手がけた眞栄熊野作業所工場棟(三重県熊野市)がウッドデザイン賞2016(ソーシャルデザイン部門)を受賞しました。


JAPAN WOOD DESIGN AWARD 2016

ウッドデザイン賞とは、木材利用の促進を目的として、木の良さや価値を再発見させる優れた製品や取り組みを表彰する制度です。ソーシャルデザイン部門では、木を使うことで地域や社会の活性化に寄与したものが選定されています。

今回受賞した眞栄熊野作業所工場棟は、大林組の木造建築技術「オメガウッド」を採用することで、ロングスパン構造の木造建物をリーズナブルなコストで実現しました。天井高約5mを確保した無柱空間は、明るく風通しのよい作業空間となっています。

眞栄は、自動車部品メーカー・小島プレス工業のグループ企業で、小島プレス工業が所有する山林の管理、植林から伐採、木材利用までを行っており、森林資源の持続可能な循環を担っています。工場の建て替えに伴い、管理している山林の木材を建物に使用することで、自産自消を実現したことも評価されました。

大林組は今回、伐採された木材の強度確認や必要な原木数の算出、加工木材の製品検査・搬入スケジュールなどの調整も行っています。

今回の熊野作業所建設における自産自消の流れ

今回の熊野作業所建設における自産自消の流れ

オメガウッドは、リーズナブルなコストでロングスパンの木造建築を実現する技術です。大規模な木造建築において、超ロングスパン構造を実現させるためには、断面幅が大きい木材が必要です。しかし汎用品の単板積層材(LVL)(※1)では厚さが足りないため、一次製品をさらに工場で二次接着して製作していました。LVLをボルトやビスでつづって一体化するオメガウッドを採用したことで、従来よりもローコストで木造の無柱空間を実現しました。

木材の積極的な活用は、林業の活性化とともにCO2排出量の削減にもつながり、地球温暖化防止に向けた重要な取り組みです。これからも大林組は、森林利用の促進や暮らしの快適性の向上につながる建設技術の開発に努めてまいります。

  • ※1 LVL(ラミネイティッド・ベニア・ランバー)
    丸太を厚さ4mm程度に桂むきしたものを、繊維方向をそろえて接着した厚めの合板