無資格者による建設機械の運転を防止する「フェイスターター®」を開発

顔認証と資格情報を連動した建設機械の起動制御システム

技術・ソリューション

大林組は、三信電気株式会社、日本コンピュータビジョン株式会社と共同で、運転者の顔認証と視覚情報を利用して、建設機械(建機)の起動を制御するシステム「フェイスターター」を開発しました。

フェイスターターによる認証状況

建設現場ではさまざまな建機を使用しますが、建機の操作には特殊な技能が必要であり、適切な講習や教育を受講した有資格者だけが運転操作をすることができます。しかし、安全や有資格作業に関して認識が不足する作業員により、無資格で建機の運転が行われた場合、さまざまな重大災害が発生する可能性があります。現在も同種の災害の撲滅にはいたっておりません。

今回、3社が共同開発したフェイスターターは、設置対象の建機と運転可能な有資格者の顔情報を事前に登録することで、無資格者による建機の運転を防止します。フェイスターターの導入により、無資格者による危険な建機の操作を建設現場から排除し、これに起因する災害を防ぎます。

フェイスターター実機
フェイスターターによる建機の起動制御の仕組み

フェイスターターの特長は以下のとおりです。

顔認証で建機の起動を制御

従来、建機の運転者管理は、鍵の貸出管理のみであったため、建機の鍵さえあれば無資格者でも建機を始動できる状況でした。フェイスターターは顔認証AIを搭載したカメラ(AIカメラ)を利用して、個人の顔認証を使用するため、無資格者による建機の始動を制限します。

フェイスターター設置状況

建設現場のルールに応じて建機の利用者を制限

建設現場では、同じ資格で運転できる建機が複数台あっても、「建機AはX社、建機BはY社の運転者が利用する」など、個別のルールを設定することがあります。フェイスターターに登録する利用者を現場ごとのルールに従って登録することにより、それぞれの建機を特定の会社やグループのみが使用できるように制限できます。

一般的な建機での十分な試行実績

開発に当たり、バックホウ、フォークリフトおよびキャリアダンプを対象に試験的に設置し、稼働状況を確認した結果、大きなトラブルはなく運用できることを確認しました。また、建機の起動に関する仕組みは類似しており、同様の仕組みを持つさまざまな建機での利用が可能です。

フェイスターターを建設現場に導入することで、数多くの建機が稼働している現場において無資格運転が発生しない安全管理体制を築くことができます。これは現場の安全性向上のみならず、元請会社および協力会社の職員の安全管理業務の負荷軽減にも寄与します。

大林組は、フェイスターターの建設現場での利用を拡大することで、建設業界の災害防止、安全性向上に貢献してまいります。