岩盤内構造物の耐震設計

岩盤内地下立体施設の合理的耐震設計法

高度な解析技術を用いて合理的な設計を提案します

岩盤内地下立体施設の合理的耐震設計法とは?

これまで岩盤内に構築される構造物は高い耐震性を有しており、耐震設計は不要であるとされてきました。しかしながら近年の地震では山岳トンネルなど岩盤内構造物にも被害が報告されており、原子炉安全補助施設など高い安全性を要求される施設では、岩盤内構造物に対しても高い耐震性能が求められています。さらに岩盤内構造物を対象とした耐震設計法は確立されておらず、砂や粘土などの表層地盤における手法に準じて設計しているのが現状です。そのため、大きな周面せん断力など岩盤特有の荷重に対してトンネルと立坑の接続部など複雑な形状を有する地下構造物を合理的に設計することが難しく、過大な構造にせざるを得ないケースが生じています。

本設計法ではFEM解析によって構造物の3次元的な挙動や、コンクリート・鉄筋などの材料の非線形性を考慮することで、トンネルと立坑の接続部など複雑な形状を有する地下構造物の耐震性能を正しく評価し、岩盤内地下構造物の合理的な設計を実現しています。

例えば、従来の設計法では面内壁によってせん断力に抵抗しますが、トンネル接続部など開口によって面内壁が欠損する場合には耐力を定量的に評価することができません。そのため、2本のトンネル位置をずらすことでどの深度でも耐力を評価できるよう考慮する必要があります(図-1左)。一方、本設計法では開口部周辺の3次元的な応力伝達や変形挙動を正確に評価することができ(図-2)、合理的な構造設計を可能にしています(図-1右)。さらに複雑な3次元形状に対して破壊までのメカニズムを把握することができるため、適切な免振構造や補強構造の提案が可能になります。

図-1 トンネル配置の例
図-1 トンネル配置の例
図-2 本設計法による解析例
図-2 本設計法による解析例

お客様のメリット

断面合理化によるコストダウン・工期短縮

  • 3次元的な荷重伝達や免震材・分割構造の効果を適切に考慮することにより、配筋量・壁厚の低減が可能になります。壁厚の低減に伴い掘削土量も削減可能になり、コストダウン・工期短縮が可能になります。

トンネル線形の選択肢の増加

  • 従来の設計法では開口部周辺の耐力の評価が困難であったため、同一深度に開口を有する立坑は構造的に成立しません。本設計法では3次元的に開口部周辺の荷重伝達を考慮することができ、両側に開口を有する立坑においても耐力評価が可能になります。
  • 任意の形状・配置での開口を有する立坑の設計が可能になるため、トンネル線形の選択肢が増加します。

説明性の高い設計が可能

  • 従来の設計法では開口が小さい場合には開口補強筋を配置することで、開口のない場合と同等の耐力が確保できます。
  • 3次元の材料非線形解析で開口周囲のコンクリートおよび鉄筋の応答を直接確認できるため、説明性の高い構造設計が可能になります。

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