光切断法を用いた3次元計測システム
人とロボットの協働作業により計測作業を効率化します
光切断法を用いた3次元計測システムとは?
国土交通省の土木工事施工管理基準では、トンネルの覆工コンクリートの出来形管理は、トンネル延長40mごとに1断面の幅と高さを計測することとなっています。一般的な道路トンネルの幅・高さは6m~10m程度で、計測点は、1断面当たり左右と天井部の3点です。従来の計測方法は、高所作業車とはしごを用いてメジャーや検測棒などで行うため、手間と時間がかかり、作業の効率化が課題でした。
光切断法は、直線状に光が照射されるラインレーザーとカメラを用い、レーザー光の進行方向とカメラの光線ベクトルの三角測量の原理により3次元計測を行います。光切断法を用いた3次元計測システムは、光切断法でトンネル覆工全周の出来形を計測できるように、360度に照射するリングレーザーと、その照射光を一度で撮影できる魚眼カメラを採用しました。1断面の計測は、リングレーザーのスイッチをONとOFFの状態で写真をそれぞれ1枚撮影し、背景差分法(※1)によってレーザー照射点のみを画像から自動抽出後、3次元点群座標を計算します。これにより、従来は3~4人必要だった計測が、1人で行えるようになりました。また、計測装置を自律4足歩行ロボットに搭載することで、複数断面を連続的に計測でき、計測時間は従来の約30分の1に短縮可能です。
本技術は、国土交通省2022年度「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」にて総合評価Aをいただきました。
お客様のメリット
光切断法を用いた3次元計測システムは、高密度、高精度な出来形計測と省人化・省力化による生産性の向上、安全性の向上に寄与します。
高密度、高精度な出来形計測
従来の出来形計測はトンネルの幅と高さの3点のみの計測でしたが、光切断法は360度の高密度な計測が可能です。また、トンネル内にARマーカー(※2)を設置し、あらかじめトータルステーションで計測したARマーカーの絶対座標を使用してスケール調整することで、高精度な計測が可能です。設計断面との自動比較ソフトを用いることで、内空が確保されていることも確認できます。
省人化・省力化による生産性向上と安全性の向上
4足歩行ロボットに計測機器を搭載することで、複数断面を連続して効率的に計測できます。1人で計測でき、1断面の計測時間は5秒ほどです。高所作業車やはしごによる作業は不要なので安全性が向上します。
【その他】
商標出願中(出願番号:商願2022-143940)
- ※1 背景差分法
背景画像(レーザーOFFの状態)と観測画像(レーザーONの状態)を比較することによって、物体を検出する画像処理手法
- ※2 ARマーカー
現実空間に写真や座標などさまざまな情報を表示させるためのカメラ用目印