泥土圧シールド工法における掘削土量管理技術
チャンバー内掘削土砂の物性値計測システム
掘削土砂の「湿潤密度」と「含水量」をリアルタイムに連続計測
チャンバー内掘削土砂の物性値計測システムとは?
泥土圧シールド工法(※1)での掘削において、土砂の状況をリアルタイムに把握するシステムです。シールド機の隔壁に、ユニット化されたRI計測器(※2)を設置することで、チャンバー内掘削土砂の「湿潤密度(ρt)」と「含水量(ρw)」を連続計測します。
計測結果から、掘削直後の土砂の「乾燥密度」を算定できるので、間隙 (かんげき)比や含水量変化の影響をあらかじめ排除し、地山土量に対する掘削土量を、土粒子の重量に着目した管理が可能です。
また、泥土圧シールド工法の中でも、添加材として「気泡」を使用する気泡シールド工法においては、チャンバー内掘削土砂の気泡混合率を算定することが可能となり、実際に切羽へ添加した気泡量との比較を行うことで、地山への気泡の漏出量を算定できます。なお、本システムは大林組、株式会社立花マテリアル、ソイルアンドロックエンジニアリング株式会社の3社の共同研究開発によるものです。
- ※1 泥土圧シールド工法
掘削土砂に添加剤を加えて撹はんして泥土とし、その圧力で切羽を安定させて掘進する工法 - ※2 RI計測器
RIはラジオアイソトープ(radioisotope)の略で、微量の放射線を利用して土中の元素を分析し、密度や含水量を計測する装置。原子力規制委員会への使用届の提出で設置・使用ができ、特別な資格は不要
お客様のメリット
掘削土砂の排土量管理の信頼性が向上します
- 従来、トンネル坑内に排出された掘削土の「乾燥密度」は、サンプリング試料を元に室内試験により算定していました。
本システムでは、シールドマシンのチャンバー内において、リアルタイムに連続で掘削直後の「乾燥密度」を算定・把握できるため、間隙比や含水量変化の影響をあらかじめ排除し、地山土量に対する掘削土量を土粒子の重量に着目した管理が可能で、排土量管理の信頼性が向上します。
添加剤である気泡の地盤漏出の兆候を、いち早く検知できます
- 従来、大気圧下(トンネル坑内)に排出された掘削土からは気泡混合率を算定できませんでした。
本システムでは、加圧状態にあるチャンバー内において、リアルタイムに連続して気泡混合率を算定・把握できるため、実際に気泡添加装置で切羽へ注入した気泡量と比較することで、気泡の地山漏出の兆候をいち早く検知し、地表面などへの漏出事故を防止できます。
小断面から大断面まで、あらゆるサイズの泥土圧シールドに簡単に設置できます
- ユニット化されたRI計測器をシールド機内に設置するだけなので、キャリブレーション(調整)が不要あり、外部に外れる心配がありません。
- コンパクトな装置であるため、小断面から大断面まで、あらゆるサイズの泥土圧シールドに対応でき、大断面の場合は、複数箇所に計測器を設置できます。
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計測システムの設置状況(チャンバー側)
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設置状況の拡大(チャンバー側)
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設置状況の拡大(機内側)
【実績・適用例】
- 地下河川トンネル築造工事 1件