山岳トンネル支保工建て込み技術

クイックテレクター®

安全性と省人化を両立する次世代支保工自動建て込み技術

クイックテレクターとは?

山岳トンネル掘削作業において、切羽直下での作業員による作業を完全に排除し、安全性を大幅に向上した鋼製支保工建て込み技術です。従来、切羽直下に作業員4~5人必要だった作業が重機オペレーター1人のみで対応可能となり、省人化も実現します。

技術の構成や特長は以下のとおりです。

  • 支保工に取り付けたマーカー(位置を識別するための目印)を、4台の専用カメラでリアルタイムに追跡するモーションキャプチャ技術(※1)をガイダンスシステム(※2)に採用し、エレクター(※3)を高精度に誘導
  • ガイダンスシステムに従い支保工を建て込み、ワンタッチジョイント(※4)により左右支保工を連結
  • 金網が必要な区間では事前に金網を支保工に取り付けて同様に建て込み可能
  • 自重受けつなぎ材「SZブラケット(※5)」による既設支保工との連結またはサブエレクター使用により支保工を固定
  • 支保工をエレクターで把持したまま吹付け作業
  • 後方トータルステーションでリアルタイムに重機位置を計測し、適正な位置に誘導
  • 従来機への後付け可能
  • ガイダンスシステムとエレクター操作装置との連動により自動化可能
クイックテレクター全体構成
ワンタッチジョイント
SZブラケット
金網を取り付けた支保工

お客様のメリット

切羽直下での作業が不要になり安全性が向上

  • 支保工建て込みの作業員が切羽直下に立ち入ることなく建て込み作業が可能です。危険エリアでの作業を完全に排除することで、安全性を飛躍的に向上させます。支保工に金網を事前に取り付けておくことで、切羽での金網取り付け作業も不要となり、さらなる安全性向上につながります。

高精度な建て込み作業が可能

  • モーションキャプチャ技術により、支保工の位置をリアルタイムに高精度で把握でき、計画位置への誘導を正確に行うことで、±10mm以内での建て込みが可能です。支保工を把持した状態で吹付け作業を行うため、安定した固定が可能です。

省人化と作業時間の短縮を実現

  • 高精度な誘導と遠隔操作により、従来は切羽作業員4〜5人、オペレーター2人で行っていた支保工建て込み作業が、オペレーターのみで対応でき、さらに操作に習熟すれば1人施工も可能となり、施工の効率化と人員最適化につながります。
  • 支保工建て込み~金網取り付けまでの作業時間を約50%短縮し、工程管理やコスト面でも大きなメリットをもたらします。

ベースとなる建機に依存しないシステム構成

  • あらゆるエレクター付き吹付け機への後付けでの搭載が可能なため、ベースマシンから開発する必要がなく、従来機への適用検討から開始できます。

【実績・適用例】

  • 常磐自動車道 宝珠山トンネル
  • 舞鶴若狭自動車道 三国岳トンネル

【その他】

  • 鋼製支保工遠隔建て込み技術「クイックテレクター®」(2024.9.4 公益社団法人 高速道路調査会)
  • 安全性向上と省人化を目的とした鋼製支保工の建て込みと吹付けコンクリートの遠隔施工(2024.9 令和6年度土木学会全国大会第79回年次学術講演会)
  • 自重受け繋ぎ材による鋼製支保工建て込み技術の開発(2025.9 令和7年度土木学会全国大会第80回年次学術講演会)
  • ※1 モーションキャプチャ技術
    人や物の3次元の動きをキャプチャし、その動きをデジタル化するシステム。モーションキャプチャには光学式、慣性センサ式、機械式、磁気式の4つの種類があり、クイックテレクターには位置精度が最も高い光学式を採用している
  • ※2 ガイダンスシステム
    支保工建て込み作業を行うにあたり、計画上の建て込み位置に支保工を誘導するためのシステム。オペレーターは、リアルタイムにガイダンス画面上で、計画と現実の位置座標の差を数値かつモデル化図面で確認できる
  • ※3 エレクター
    トンネルの天井や壁面を支える支保工を把持し所定の位置に移動させ、据え付けるユニット
  • ※4 ワンタッチジョイント
    鋼製支保工の頂部継手で、鋼製支保工の継手部にダブルピンカプラー部品を溶接したもの
  • ※5 SZブラケット
    鋼製支保工脚部に取付け、設置済み支保工と接続することで支保工を正しい位置に設置、脚部を固定する金具

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