地下立体交差を従来の1/3の工期で急速施工

工事による交通渋滞を最小限に抑え、騒音や振動も低減します

プレスリリース

大林組は、交差点の地下立体交差(アンダーパス)を、従来の工法に比べて最大1/3の工期で急速施工する「URUP(ユーラップ/Ultra Rapid UnderPass)工法」を開発しました。日立造船(株)(本社:大阪市住之江区、社長:重藤毅直)と共同開発したマトリックスシールドで、地表からそのままトンネルを掘り進め、交差点部を開削することなく地下立体交差を施工し斜路の出口に到達させます。シールド機で掘削する際に通常必要となる立坑などの大規模な準備工事が不要なので、大幅な工期短縮が可能です。工事に伴う交通渋滞や騒音、振動も大幅に軽減することができます。
大林組は、これらの課題に対応する工法として、すでに地上の立体交差を3ヵ月間で施工する「REFO(レフォ/Rapid & Eco Fly Over)工法」を開発しておりますが、このたび地下立体交差を10ヵ月間で構築する「URUP工法」を開発いたしました。

地下立体交差を開削工法で構築する場合には、広範囲にわたる道路占用や3年程度の長い工事期間を必要とし、さらに杭打による騒音、振動などが長期間にわたるため、周辺環境にも影響を与えていました。また、交差点部を非開削で施工する場合でも、入口側と到達側に立坑を構築してそれぞれの間をつなぐ方法であったため、アプローチ部とトンネル部を別々に構築する必要があり、大幅な工期短縮は得られずコスト面でも割高となっていました。

このたび開発した「URUP工法」は、高さと幅が約3.5mの矩形シールドを、掘削する幅に合わせて複数配列したマトリックスシールドで施工します。この工法では、立坑の構築は不要で、シールド機は地上から発進し、そのまま出口側まで連続して施工できます。アプローチ部の斜路を掘削する際に側壁の崩落を防ぐため、側部に先行して進むカッターを備えています。これによって一般道への影響を遮断し、地上からの発進や地上への到達を可能にします。
この工法の採用により、これまで3年程度を要していた地下立体交差の工事を、従来と同程度のコストで約10ヵ月間で急速施工できます。

今回、開発した「URUP工法」の特長は次のとおりです。
  1. 工期はわずか10ヵ月
    従来の工法では3年程度の工期を要していましたが、本工法では地上部より掘り進めることができるシールド機を用い、立坑の構築も不要なので、約10ヵ月間という超短工期で施工できます。また、掘削断面の大きさに応じて複数の小型の矩形シールドを現場に搬入し、作業帯の中で連結するだけなので、現場でのシールド機の組み立てや解体作業が容易にできます。

  2. 工事による二次的な渋滞を最小限に抑制
    交差点部を占有せず10ヵ月間という短期間で地下立体交差を施工するので、工事による交通渋滞を最小限に抑えます。

  3. 騒音、振動を低減し建設発生土も抑制
    発進立坑や到達立坑を構築する必要がないため、側壁の崩落を防ぐための杭打ちなどが必要ありません。これにより騒音や振動を大幅に低減することができます。さらに従来の工法に比べ、掘削土量を低減することができるので、建設発生土を抑制した環境にやさしい工法です。

  4. 低土被りで施工可能
    地表に近い層に大断面のシールド機を用いると、トンネル上部の地盤に影響が出るため、従来はシールド工法を用いることは困難でした。マトリックスシールドは、配列した小型の矩形シールドが同時に掘り進むのではなく、それぞれが独立して稼動し個々に掘進する仕組みとなっています。これによりトンネル上部の地盤への影響が少なく、低土被りでの施工が可能です。

  5. 小型のシールド機を掘削断面に合わせて自由に連結でき、転用も可能
    マトリックスシールドは、高さ、幅とも約3.5mの矩形シールドを用い、このシールド機を掘削断面に合わせ、縦・横に配列して掘進するものです。構築する地下立体交差の道路幅に合わせて自由に組み合わせることができるので、様々な用途や規模に適用可能です。さらに掘削後には、直接地上に到達するので現場から容易に搬出でき、シールド機の転用が可能です。

今後大林組は、都心の交差点を施工条件に合わせて、超短工期で立体交差化する工法を積極的に提案し、交通渋滞の緩和と交通利便性の向上に貢献していきます。

なお、10月31日から11月1日にかけてグリーンアリーナ(広島県立総合体育館)で行なわれる「みる・きく・ふれる 国土建設フェア2003」に、この工法を当社が開発した新技術として出展いたします。

URUP工法イメージ図

以上

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大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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