トンネルの二次覆工を省略できる「アンカーシートセグメント工法」を開発、実用化~内面を樹脂製シートで覆い セグメントの耐久性を向上~

プレスリリース

pointer トンネルの二次覆工を省略できる「アンカーシートセグメント工法」を開発、実用化
内面を樹脂製シートで覆い セグメントの耐久性を向上
  大林組は、下水道などの水路トンネルで使用するセグメントの内面を、耐久性の高い樹脂製シートで覆うことにより、コンクリートによる二次覆工を省略できる「アンカーシートセグメント工法」を開発、実用化しました。二次覆工が不要になるので、シールド工事の工期や工事費を低減することができます。このたび兵庫県伊丹市発注の「渕(ふち)雨水ポンプ場建設工事」のシールド工事(所在:兵庫県伊丹市森本1丁目、セグメント外径:Φ2.3m、延長:1027m)において全線にこの工法を採用しました。

下水道のシールドトンネルは、トンネル内の蛇行修正や内面平滑性の確保、止水性の向上のほか、セグメントの躯体部分を防食する目的で、セグメントの内側に二次覆工コンクリートを打設することが一般的です。近年では技術の開発が進み、掘削精度やセグメントの止水性は向上しましたが、コンクリートの防食に対しては根本的な解決方法がなく、耐久性の高い被覆工法の開発が求められていました。

今回適用した工法は、あらかじめ内側を高密度ポリエチレン樹脂製シート(アンカーシート)で被覆したセグメントを用いてシールドトンネルを構築する工法です。アンカーシートは耐摩耗性・耐腐食性が高いため、コンクリートによる二次覆工を行わなくても、トンネルの耐久性を確保できます。また、シートの厚さが2mmと薄いので、コンクリートで二次覆工する場合に比べ、トンネルの壁厚を薄くすることができるとともに、アンカーシートはコンクリートに比べて粗度係数*1が小さく、トンネル仕上がり内径を縮小しても十分な流水量を確保することができるので、掘削断面を縮小してコストを低減することができます。工期についても、従来必要だった二次覆工の工程を省略できるので、大幅な短縮も実現できます。
*1:粗度係数:
水路壁表面の木目細かさの程度を現わす係数(マニングの粗度係数)。値が小さいほど摩擦が少なく、下水や雨水が流れやすくなる。
「アンカーシートセグメント工法」の施工手順は次のとおりです。
  1. 工場で、アンカーシートを一体化したセグメントを製造します。
  2. 通常のコンクリートセグメントと同様に、現場に搬入してトンネル内で組立てます。
  3. セグメントの継ぎ目に目地コーキングを施します。
  4. コンクリートによる二次覆工を行うことなく、供用を開始できます。
     

「アンカーシートセグメント工法」の特長は次の通りです。
  1. トンネルの耐久性を向上し、メンテナンスフリーを実現
    高密度ポリエチレン樹脂製のアンカーシートは、高い耐腐食性を有するとともに耐摩耗性が高いため、トンネルの耐久性が向上し下水道トンネルのメンテナンスフリーが実現できます。
     
  2. 二次覆工の省略により掘削外径を縮小
    アンカーシートは、コンクリートに比べて耐摩耗性・耐腐食性が高いため、コンクリートによる二次覆工よりも薄い厚み(2mm)で躯体部分を保護することが可能です。そのため、掘削外径を縮小でき、コスト縮減が可能になります。
     
  3. 工期短縮を実現
    アンカーシートはセグメントと一体化成型で製造されるため、従来、セグメント組立後に行っていた二次覆工の工程が不要になり工期を短縮できます。さらに、内面平滑セグメントに適用すればボルトボックス穴埋め作業も省略できるため、大幅な工期短縮が可能です。
     
  4. 粗度係数低減によりトンネル仕上がり内径を縮小
    アンカーシートの粗度係数は、二次覆工に使用されているコンクリートに比べて小さいことから、下水や雨水が流れやすくなり内空断面が小さくても十分な流量を確保できます。これによりトンネルの掘削断面を縮小でき、建設コストの低減が可能となります。

この工法を採用した「渕雨水ポンプ場建設工事」では、すでに大林組が石川島建材工業梶A潟Nボタとで共同開発している「ワンパスセグメント2」を用いています。これは内面があらかじめ平滑になっている小口径トンネル向きのセグメントで、ボルトを止めるためのボルトボックスがないため、セグメント組立て後に行っていたボルトボックスの穴埋め作業が不要になり、更に工事費や工期を縮減することができます。

今後、大林組は、今回開発した「アンカーシートセグメント工法」ならびに「ワンパスセグメント2」を、下水道等の水路トンネル用セグメントとして広く提案し、展開していきます。
アンカーシートセグメント断面図  
以上
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大林組 東京本社 広報室 企画・報道・IRグループ
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