段付鋼管によるトンネル地山補強工法を開発 トンネル工事に初適用

トンネル脚部の沈下や変状を効率的に抑制

プレスリリース

大林組は、表面に窪みを加工した段付鋼管を用いたトンネル脚部補強工法を開発し、中日本高速道路(株)東京支社発注の第二東名高速道路島田第一トンネル上り線工事において初適用しました。

強度の低い地山でトンネルを掘削する際、脚部(トンネル断面の下隅部)が沈下することがあり、掘削時の地山の安定に大きな問題が生じることがあります。一般に、脚部の支持力を増大し沈下を抑制する対策工として、脚部補強パイルやサイドパイルがありますが、鋼管の表面が平滑で付着抵抗力が小さいため、支持力を得るために必要な鋼管の打設長や打設本数が多くなり、工期やコスト増大の原因となっていました。

今回当社が開発した工法は、写真-1,2のように鋼管(外径114.3mm)の表面に凹面を加工した新日本製鉄(株)製の段付鋼管を用いることで、付着抵抗力を大幅に増大させ、必要打設長を縮めることができることから、工期の短縮およびコストダウンが可能となります。

今回の施工に先立ち、通常の鋼管と段付鋼管の付着抵抗力の差異について、現位置引抜き実験により検証(写真-3)した結果、図-1に示すように、段付鋼管の付着抵抗力は通常の鋼管の約7倍となり、安全率を見込んだ場合でも必要打設長を1/2程度に短縮することができました。

段付鋼管の打設は、地山に削孔後、薬液を注入して定着します。施工に際しては、汎用性を考慮してトンネル現場に常備されている油圧削岩機での実施を可能とし(写真-4,5)、同現場にて施工性確認試験を繰り返し実施して施工法の有効性も確認しました。


第二東名高速道路島田第一トンネル上り線工事における段付鋼管の適用箇所は、上下線をつなぐ連絡坑との交差部であり、かつ周辺地山が軟弱な地質であるため、掘削時には脚部沈下の発生が予想されました。このため、連絡坑交差部を含んだ18mの区間に脚部補強が必要と判断し、長さ3mの段付鋼管を図-2のようにトンネル断面の左側には延長1mあたりに1本、連絡坑のある右側には延長1mあたり2本打設しました。写真-6は右側側壁部の打設状況です。
なお、この段付鋼管は、脚部補強以外にもトンネル掘削時の地山安定工法として、今後広く適用していく予定です。

今後とも大林組は、顧客ニーズに合致した技術を提供することにより、安全・安心な社会づくりに貢献していきます。

【工事概要】

■工事名称

第二東名高速道路島田第一トンネル上り線工事

■工事場所

静岡県島田市大草~静岡県藤枝市谷稲葉

■発注者

中日本高速道路(株)東京支社

■工期

平成17年9月15日~平成22年1月31日

■施工

大林・熊谷・フジタ 特定建設工事共同企業体

■トンネル諸元

トンネル施工延長 2,651m、3車線道路トンネル(幅員15m)、掘削断面積125~182m²

以上

■この件に関するお問い合わせ先
大林組 東京本社 広報室 企画課
東京都港区港南2-15-2  品川インターシティB棟
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