壁面装置を利用して耐震性能を向上させる制振システム「HMS(フラマスダンパーシステム)」を開発

外付けの環境装置で耐震性能も向上

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、建物外周に取り付ける壁面緑化や太陽電池、外装材などを利用して、建物の耐震性能を向上させる新しい制振システム「HMS(hula mass-damper system フラマスダンパーシステム)」を開発しました。

近年、低炭素社会に向けてCO2排出量を削減するために、壁面に緑化や太陽電池、庇・ルーバーといった環境装置を設置するエコ改修を行う建物が学校施設等で増えてきています。通常、耐震改修が必要な建物では、エコ改修とは別に、窓面に耐震ブレースを設置するような工事が行われています。

今回開発した「HMS」は、壁面に設置する緑化や太陽電池といったエコ改修の環境装置を、高減衰ゴム(※1)を介して水平方向に動くように建物に取り付け、揺れを打ち消す「おもり」として働かせることで、耐震性能を向上させます。大林組技術研究所において実施した本システムの4分の1スケールでの性能確認試験では、地震などの大きな力に対しても、「HMS」非装着時に比べて20%~40%の低減効果が得られて、耐震性能が向上することを確認しています。

また、ブレースや耐震壁などによる耐震改修を別途に行う必要がないため、従来の制振システムに比べて設置箇所に関する意匠上の制約が少なく、開放感や眺望を損なうことがありません。

加えて、建物の外周での工事だけでエコと耐震の改修を同時に行うことができ、室内空間への影響がなく、居抜きでの施工も可能となり、工期の短縮を図ることもできます。

「HMS」は、壁面に庇や植栽受け架構など「おもり」として利用できる装置が設置される建物であれば、新築建物にも適用できます。

既に都内の某新築物件で、ダブルスキン、緑化パネル、太陽光電池などを「おもり」として利用した「HMS」の適用を計画中です。

※1 住友ゴム工業株式会社が新たに開発した小型の高減衰ゴム(振動を熱エネルギーに変換し、吸収するゴム)を使用しています。

HMS(hula mass-damper system フラマスダンパーシステム)の特徴

  1. 建物外周に取り付ける壁面緑化や太陽電池、庇などといったエコ改修の環境装置の設置がそのまま耐震性能の向上につながるため、デザイン性に優れ、外観や眺望を損なうことがありません。また、建物の外側だけからの居抜きでの施工も可能です。

  2. 従来のブレースなどによる耐震改修とエコ改修を別途で行う場合と比較して、同等のコストでエコと耐震の改修を同時に行うことができます。(施工条件により異なります)

  3. 新築建物に対しても、ダブルスキンや庇・ルーバー、壁面緑化などの技術と組み合わせて利用することにより、環境負荷低減と耐震性能の向上を一挙に達成することが出来ます。さらに、新築工事ではオイルダンパーなどの装置と同等のコストで耐震性能の向上が図れます。(施工条件により異なります)

大林組は、今後も、新築建物や既存建物の耐震性能を向上させるとともに、環境負荷低減を兼ねた付加価値の高い提案をお届けします。

HMS(フラマスダンパーシステム)

HMS(フラマスダンパーシステム)

HMS(フラマスダンパーシステム)

以上

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大林組 CSR室広報第一課
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