地震時の液状化による道路の変状を抑制する「タフロード工法」を開発

被災後でも車両の通行を可能にする経済的な構内道路補強技術

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、地震時の液状化による道路の変状を抑制し、被災後でも車両の通行を可能にする「タフロード工法」を開発しました。

近年の大規模な地震の発生を受けて、臨海部に立地する事業所においては、事業継続性の観点(※1)から、構内道路を補強する需要が高まっています。「タフロード工法」は、構内道路の補強に適した工法です。

従来、液状化が予想される地盤上の道路では、道路変状対策として液状化する地盤の一部もしくは全部を置換する方法や砂杭を造成することで地盤の密度を増大させる方法がとられてきました。しかし、これらの方法には地盤の掘削に多大な手間や時間がかかる、騒音や振動などにより周辺環境に与える影響が大きい、対策費が高くなるといった課題があります。

今回開発した「タフロード工法」は、性能設計の考えに基づき、液状化の発生は許容するものの道路の機能は確保するようにした、経済的な道路補強技術です。

「タフロード工法」の特長は以下のとおりです。

  1. 道路機能の確保

    舗装した道路は周辺に比べて重量が大きく、液状化すると、この重量差により道路直下の地盤が周辺方向に移動し、道路に変状が生じます。「タフロード工法」は、道路直下に軽量土を用いて周辺地盤との重量バランスをとるとともに、路床全体にジオグリッド(※2)を敷設し全体を一体化および補強することで、道路の極端な沈下や隆起、段差の発生を抑制します。


  2. 経済性の向上・工期の短縮

    液状化する地盤への対策は行わないため、最も安価とされている従来の液状化対策(サンドコンパクションパイル工法)に比べて30%~50%のコストダウンが図れるとともに、工期も短縮できます。また、騒音や振動などに伴う周辺環境に与える影響も抑制できます。


  3. 副産物の有効利用

    石炭火力発電所で発生するクリンカアッシュや、製鉄所の高炉で発生する水砕スラグなどの副産物を軽量土として有効利用することができます。

大林組は、今後、被災後に車両などの緊急走行用としての機能を確保する必要がある道路への経済的な補強技術として、民間企業や道路管理者へ積極的に提案していきます。

※1 構内道路には緊急車両(消防車両など)の走行路という重要な役割があり、道路補強を行うことで、地震発生直後でも緊急車両の走行性を確保できます。

※2 ジオグリッドは、盛土の補強用材料などとして活用されている高分子材料でできた土木用ネット型シートです。


道路の被災例(2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震)

道路の被災例(2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震)


タフロード工法概要図(道路横断図)

タフロード工法概要図(道路横断図)


比較概念図(道路横断図)

比較概念図(道路横断図)

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大林組 CSR室広報部広報第一課
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