トンネル発破低周波音消音器「ブラストサイレンサー」を開発

音響管の共鳴現象を利用し低周波音を大幅低減、津奈木トンネルで効果を確認

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、山岳トンネル工事における発破掘削時に発生する低周波音を大幅に低減できる「ブラストサイレンサー」を開発しました。

現在国内では年間約340本の山岳トンネルが施工されていますが、その約7割に当たる約240本で発破掘削が行われています(出典:社団法人日本トンネル技術協会 トンネル年報2010)。発破の際に発生する発破音は、比較的広帯域(広い周波数帯域)の非常に大きな騒音です。中でも低周波音は、近隣建物の窓ガラスや扉のがたつきなどの原因となる場合があるため、その対策として従来はコンクリート製や砂充填(じゅうてん)式などの重厚な防音扉を設置していました。しかしながら、従来の扉では消音効果が低いため、扉を複数枚設置する必要があるなど、影響の低減に苦慮していました。

今回開発した「ブラストサイレンサー」は、音響管の共鳴現象を利用し、従来の防音扉よりも大幅に低周波音を低減する消音器です。このたび、熊本3号津奈木トンネル新設工事現場(国土交通省九州地方整備局発注)で検証実験を行ったところ、低周波音を大幅に低減する効果があることを確認しました。
 従来の発破音対策方法と発破低周波音消音器の比較

従来の発破音対策方法と発破低周波音消音器の比較

 

「ブラストサイレンサー」の主な特長は以下のとおりです。

  1. 周辺環境に対する低周波音の影響を大幅に低減します

    発破音と逆位相の反射音を発生させる音響管をトンネル内にゲート状に配置し、発破音と反射音を干渉させて消音します。この効果により、周辺環境に対して影響の大きい周波域63Hz以下の低周波音の影響を、従来の防音扉を使用した場合よりもエネルギーで90%以上、音圧レベルで10dB以上低減できます。

  2. 工期全体を短縮しコストダウンが可能です

    トンネル掘削では、掘り始めに、コストは割高でありながらも、大きな音の発生しない機械掘削を通常採用しています。しかしながら、今回開発した消音器を設置することにより、周辺環境に対する低周波音の影響を低減できるため、掘削工程の早い段階において、低コストで効率のよい発破掘削が開始可能となり、全体の工期短縮、コストダウンを実現しました。加えて、本消音器と従来の防音扉を併用することで、より広い帯域の騒音を低減することも可能です。

大林組は、発破掘削を用いる山岳トンネル工事の周辺環境に配慮した発破音対策技術として、この「ブラストサイレンサー」(トンネル発破低周波音消音器)を積極的に提案していきます。

ブラストサイレンサー写真

ブラストサイレンサー写真

 

音響管による消音原理

        音響管による消音原理

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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