株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、データセンターの消費電力を削減し、エネルギー効率指標PUE(※1)(データセンター全体の消費電力/IT機器消費電力)を低下させる新空調システム「クールエアキャプチャ」の効果を大林組技術研究所において実証致しました。
大林組は、データセンター向けに開発した天井吹き出し方式の新空調システム「クールエアキャプチャ」について、実空間における気流分布状況、空調消費電力の削減効果、および効果的な運転方法を確認するため、大林組技術研究所内に実大の模擬サーバールーム(幅5.5m、奥行き4.5m、天井高さ3.0m)を製作し、2011年8月より実証実験を進めてきました。この実大模擬サーバー室は、サーバーラックの負荷密度の変更など、顧客からの要望に合わせて模擬実験を行うことが可能であり、適宜実施前の検証にも役立てることができます。
主な実証結果は以下のとおりです。
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気流解析シミュレーションによる高効率の空調気流の実証
これまでサーバー室の気流解析シミュレーションで検討してきた効率の良い空調気流が実験でも確認できました。また、冷風量や吹き出し温度などをパラメータにして、気流分布、温度分布の変化を実大スケールにおいて定量的に評価することで、「クールエアキャプチャ」のより効果的な適用のノウハウを蓄積することができました。
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空調設備の消費電力が従来比で約25%の削減
実験による本システムの試行で、従来の空調システム(床吹き出し方式)と比較した空調設備の消費電力の削減率が、約25%となることが確認できました。
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エネルギー効率指標PUE約1.3を実現
本システムを使った場合のエネルギー効率指標PUEを試算したところ、1.3程度という結果となりました。最新の空調設備を備えたデータセンターの同数値が1.4程度であることを勘案すると、このPUEの値は、極めてエネルギー効率の良いデータセンターであることを示しています。また、本システムと外気冷房などとの併用を行えば、さらにPUEを低下させることが可能です。
大林組は、今後、「クールエアキャプチャ」の積極的な提案により、消費電力を削減し、エネルギー効率が高いデータセンターを実現し、環境負荷の低い、持続可能な社会へ貢献していきたいと考えています。
【「クールエアキャプチャ」実大実験施設】
サーバーラック数: 5ラック/列×2列=10ラック
サーバーラック寸法: W700mm×D1,000mm×H2,000mm
ラック発熱量: 6kW/ラック
サーバーラック仕様
【参考】データセンター向け省エネ空調システム クールエアキャプチャ®
(概要)
サーバーの高負荷・高発熱化により消費電力の増大しているデータセンターでは、冷却効率の良い空調システムが求められています。
クールエアキャプチャは、コールドアイル・ホットアイル配置のサーバー室において、冷気を上から供給する空調システムです。コールドアイルではサーバーラックと床面による冷気のキャプチャ(閉じ込め)効果により冷気を効果的にサーバーへ供給し、ホットアイル側に排出されるサーバー排熱は浮力により効率良く天井吸い込み口に吸い込まれます。「冷たい空気が下へ、暖かい空気が上へ」と理にかなった効率の良い空気の流れにより従来の吹き出し空調方式に比べて約25%の省エネが期待できます。
(特長)
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良好な空調気流の実現~空調省エネ運転を実現し、消費電力を約25%削減
・ラックと床面により冷気を閉じ込め(キャプチャ効果)、効果的に冷気をサーバーへ供給します。
・ホットアイルからのサーバー暖気がコールドアイル側に回り込むショートサーキットや熱だまりなどを大幅に軽減します。
・サーバーラック上下方向の温度ムラが軽減されます。
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安定した給気性能
・空気の流れを天井内とすることで、床下配線と空調気流の干渉が生じないので、必要風量を確実にサーバーへ供給できます。
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。
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