株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、木造準耐火構造の大スパン架構を安価で可能にする技術を開発しました。現在、鳥取県境港市で当技術を採用した木造倉庫を建築中です。
大林組では、従前から耐火集成材「シグマウッド」などの開発に取り組み、木造技術の推進を行ってきました。さらには、2010年に施行された「公共建築物木材利用促進法」を受け、新たな技術開発として、準耐火構造大スパンの木造技術の開発に取り組んできました。
今回開発した技術では、汎用LVL(ラミネイティッド・ベニア・ランバー)材を複数に重ねてボルト(つづり材)で一体化することで、ロングスパンの木造構造物を安価に施工可能としたものです。この技術により、これまでは鋼構造が多かった倉庫や工場などの木造化が可能となり、新たな木造建築の需要喚起が促されます。
結果として、「公共建築物木材利用促進法」の本来の目的である「木材の利用促進」に大きく貢献できるものと考えています。当技術を採用した鳥取県の倉庫建設事業が、国土交通省の木造建築技術先導事業に採択され、現在施工が順調に進んでいます。
なお、当技術は東京大学木質材料学研究室 稲山正弘教授の協力を得て開発しています。
当技術の主な特長は以下のとおりです。
- 純粋木造で超ロングスパンを実現
純粋木造での超ロングスパン構造を建設するためには、断面幅および断面せい(厚さ)の大きい木材が必要です。これまで、同規模の大断面木材を製作するためには、専用の製造機械と高い品質確保を必要とする「2次接着による木材の一体化」が必要でした。
しかしながら、今回の技術では、高い汎用性を持つLVLをつづり材で一体化する工法を採用することで、大断面木材の製作が工場だけでなく現場でも可能となる上に、高品質な加工が安易に可能となりました。 - 従来の木造と比較し、材料費を50%削減
構造体全体にLVLの単板積層材を複数に重ねて採用していますが、高コストな2次接着ではなく、つづり材を使用したことにより、材料費を従来の2分の1に、材料の納期を従来の3分の2に削減しました。
- 燃えしろ設計による準耐火構造へのLVLつづり材の初採用
LVLは幅方向には大きな寸法ができますが、一般的に厚さ方向には90mm程度までしか製作できず、燃えしろ設計をするには非常に不利な材料でした。LVLをつづり材で一体化し、幅方向に部材断面を大きくすることで燃えしろ設計にも対応でき、準耐火構造への採用が可能となりました。
大林組は、工場や倉庫など、これまで木造化が難しかった大型建築物に当技術を採用することで木材利用を促進し、地球温暖化防止に貢献するとともに、お客様の多彩なニーズに応えてまいります。
■平面図
以上
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大林組 CSR室広報部広報第一課
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