広報誌『季刊大林』54号(特集:ナノテクノロジー)を発行しました

空中に浮かぶ建築『FUWWAT(ふわっと)2050』建設構想を発表

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、このたび、広報誌『季刊大林』54号を発行しました。

季刊大林 54号(特集:ナノテクノロジー)

『季刊大林』では創刊以来、建設という視点を通して、現代の社会における問題や現象をひもといてきました。本号では、注目の技術「ナノテクノロジー」がテーマです。

1ナノメートル(nm)は100万分の1ミリメートル(mm)という想像を超える小さなスケールです。この極微の世界で生み出されているナノテクノロジーは、コンピューターや携帯電話に使われる半導体や、遺伝子治療に使われるDNAなど、今や私たちの生活をさまざまな場面で支えています。そしてあらゆる分野で、新たな可能性を開く「ブレークスルーの技術」として期待されています。

本号では、ナノテクノロジーの今、そして今後の可能性を紹介するとともに、大林組の技術陣による誌上構想「大林組プロジェクト」では、ナノテクノロジーを駆使した空中に浮かぶ建築『FUWWAT2050』の建設計画に挑戦しています。

大林組では今後とも、建設にまつわる文化を考察する『季刊大林』の発行を社会貢献活動の一環と位置付け、環境・情報・防災など現代社会において重要なテーマを積極的に取り上げていく予定です。


『季刊大林』と「大林組プロジェクト」について

『季刊大林』は、1978年発刊の創刊号「ピラミッド」から現在に至るまで、建設という視点を通して人類が築き上げた文明、文化を考証し、また未来社会のあり方を模索する広報誌をめざしてきました。その間、国内外の数多くの研究者・専門家の方々にご参加いただき、他に例のない学術的広報誌として高い評価を頂くことができました。

『季刊大林』の大きな特徴となっているのは、社内で編成したプロジェクトチームが歴史的建造物の復元や検証、未来社会に寄与する建造物や街の構想などに挑戦し、そのプロセスと成果を誌上で発表する「大林組プロジェクト」です。

代表的な例としては、「古代出雲大社本殿の復元」「光源氏の邸宅・六条院の想定復元」「アーカイヴズの原像・アレクサンドリア図書館の復元」「日本と大陸をつなぐ海底トンネル道路の建設構想」「火星居住計画構想」「都市全体を免震化するゼリー免震構想」「宇宙エレベーター建設構想」などがあります。これらは、大林組の技術水準を示すばかりでなく、建設の面白さ、奥深さを垣間見せ、建設文化への理解を深める格好の機会として社会的にも話題となりました。

 

『季刊大林』 54号  「ナノテクノロジー」 概要

1ナノメートル(nm)は100万分の1ミリメートル(mm)。この想像を超える小さな世界で生み出されているナノテクノロジーは、コンピューターや携帯電話に使われる半導体や遺伝子治療に使われるDNAなど、今や、私たちの生活をさまざまな場面で支えている。そしてあらゆる分野で、このテクノロジーが新たな可能性を開く「ブレークスルーの技術」として期待されている。

本号では、現在のナノテクノロジーの全体像をとらえ、その可能性を探るとともに、大林組の技術陣による誌上構想「大林組プロジェクト」では、ナノテクノロジーを駆使し、従来の未来建築の概念を超えた未来空間の創造に挑戦した。

<主な内容>

  1. グラビア 「ナノ・ワールド」

    ナノスケールの世界は、人の目では全く見ることができない。電子顕微鏡の中で繰り広げられているナノテクノロジーのワンダーランドをのぞいてみる。
    ナノ・ワールド

  2. 原子精密製造(APM)の約束

    K・エリック・ドレクスラー (オックスフォード大学客員研究員)
    「ナノテクノロジー」の可能性を世界に広めたドレクスラー氏。かつて彼が提唱した「自己増殖する極小のロボット」は、今、実現されつつある。この先のナノテクノロジーを予言する。

  3. ナノテクノロジーとは何か

    川合知二 (大阪大学産業科学研究所特任教授)
    「ナノテクノロジー」という言葉は知っていても、実用化された技術や、将来が期待されている技術の全体像を知る人は少ない。ナノテクノロジーの現在と将来像を、分かりやすくガイド。

  4. 量子ドットが拓く未来 誕生30年を迎えて

    荒川泰彦 (東京大学生産技術研究所教授)
    10nm程度の小さな塊「量子ドット」は数あるナノテクノロジーの中でも、効果と利便性が高い利用技術の実現が見込まれている。例えば量子ドットを応用した太陽電池は驚異的に高効率が期待されている。“日本発”の誇るべきこの技術の仕組みと可能性を第一人者が語る。

  5. 長い道

    瀬名秀明 (作家)
    豊富な科学知識に裏付けられた新しいジャンルのSF作品で知られる作家・瀬名氏による、未来の生命研究をめぐる、少し甘酸っぱいストーリー。

  6. 『FUWWAT2050』 建設構想:ナノテクノロジーが描く未来空間
    大林組プロジェクトチーム

    ナノテクノロジーが描く未来空間

    超軽量・高強度のナノ材料を活用した「空中に浮く建築」をベースに、ナノテクノロジーによって実現されるであろう未来空間のあり方を考えてみた。

    【大林組プロジェクトチーム】
    建築本部:葛西秀樹
    技術本部:渕田安浩 原嶋寛 藤岡大輔
    設計本部:江村勝
    東京本店建築事業部:田辺潔
    大林デザインパートナーズ:金久保友子(作図)

  7. シリーズ 藤森照信の 『建築の原点』 (6) 妙喜庵待庵

    藤森照信 (工学院大学教授、東京大学名誉教授、建築史家・建築家)
    建築史家にして斬新な設計者としても知られる藤森照信氏が、建設物を独自の視点で捉えるシリーズ。第6回は、世界の中で最も小さい建築の一つ「妙喜庵待庵」(京都府)。待庵がワビサビの美学をリードしたとにらみ、謎多き建物を読み解く。

  8. ナノテクノロジー関連年表

    監修:丸山瑛一 (元 理化学研究所特別顧問)
    ナノテクノロジーは50年ほど前から始まった新しい技術分野だが、その基礎となるサイエンスは、はるか昔から存在する。ナノテクノロジー誕生の歴史を俯瞰する。

<仕様等>

  • 書名    季刊大林 54号「ナノテクノロジー」

  • 仕様    B5判、4C、本文64頁

  • 発行・企画 株式会社大林組CSR室

  • ISSNコード 0389-3707

  • 発行日   2013年5月30日

大林組プロジェクト
「ナノテクノロジーが描く未来 『FUWWAT(ふわっと)2050』 建設構想」

ナノテクノロジーは、さまざまな製品のスタイルや内容、さらに製造方法を一変させた。かつて大重量だったコンピューターが手のひらサイズにまで進化を遂げたのは典型的な例だ。未来の建築空間も、ナノテクノロジーの洗礼を受け、現在では思いもよらない姿かたちをとるのではないだろうか。かつて経験したことのない施工方法が誕生するのではないだろうか。
私たちはナノテクノロジーが新しい建築のスタイルを創造する可能性について、探求してみた。

長さ600mの建物が沿岸部の地上30mの高さに浮かぶ。『FUWWAT2050』は、海岸沿いでも安全に暮らせる街を実現する。 

長さ600mの建物が沿岸部の地上30mの高さに浮かぶ。
『FUWWAT2050』は、海岸沿いでも安全に暮らせる街を実現する

ナノマテリアル膜構造 断面図

構造や形が変わる

新しい未来空間を考察する上で注目されるのは《超軽量・高強度》のナノマテリアルの存在だ。建物重量が現在の10分の1になると、建物本体を細いケーブルでつってしまうことも可能になる。空中に浮かんで見える建築の実現だ。

ナノ・スーパークリーン工場における自動化工法

 

浮力を利用した空中搬送

 

施工方法が変わる

ナノテクノロジーが実現させた《超小型・高精度センサー》。センサーで各部材の位置情報を把握することなどにより、高性能・高精度の自動化施工が可能となる。造られた建物は空中輸送され、空中で取り付けることも夢ではない。足場が不要となる日がやって来るかもしれない。

生活が変わる

生活が変わる

ナノマテリアルは《多機能性・高機能性》を持つことも特徴の一つだ。薄い材料の中に照明や空調、スイッチ機能や発電装置などを持たせることで、室内空間や設備機器イメージは激変する。センサーは制振システムや各種設備機能と連携し、より高度な快適性も実現する。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 本社CSR室CSR企画第二課
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プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。