株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、中高層RC造マンション向けに大幅な短工期化と省力化を実現する「梁底PCa(プレキャスト(※1))工法」を開発・適用しました。
近年、建設業界では、作業員の労働環境の改善や、労働力の確保が課題となっており、作業の省力化・効率化による生産性の向上が必須となっています。需要堅調な住宅の建設において、大林組は、既に超高層RC造マンション向けのLRV工法など、短工期・省力化工法の研究開発に積極的に取り組んでいます。
このたび、開発した「梁底PCa工法」が対象としたのは、在来工法(※2)で施工されることの多い10~15階程度の中高層RC造マンションです。中高層RC造マンションは、施工時の作業員による人力作業が多く、大幅な短工期・省力化が図りにくいことが課題となっていました。「梁底PCa工法」は、在来工法で施工手間のかかっていた梁と床板の底部のみをPCa化し、残りの施工部位を在来工法によって施工することで、在来工法と同等のコストで、大幅な短工期・省力化を可能にしました。既に、首都圏において、10階建ての板状集合住宅3物件に適用しており、今後さらに1物件での適用を予定しています。
「梁底PCa工法」の主な特長は以下のとおりです。
- 在来工法と同等のコストで大幅な短工期化を実現
一般に、在来工法の施工手順は、柱・壁などの鉛直部から梁・床などの水平部の順に鉄筋・型枠工事を施工し、最後にコンクリートを一体打設します。今回開発した「梁底PCa工法」は、梁と床板の底部のみをハーフPCa部材として先行建方することで、鉛直部と水平部の鉄筋・型枠工事を並行施工できるため、在来工法と同等のコストで大幅な短工期化を実現します。
10階建てRC造マンションの場合、躯体工期を在来工法(1フロア12日程度)と比較すると、最大で約2ヵ月の短縮(約50%の短工期化)が可能になります。なお、梁底PCa工法は、10~15階程度の中高層マンションを、全部材にわたってPCa化する従来のPCa工法で施工した場合に比べ、同等の躯体工期(1フロア6日程度)を実現できるうえに、PCa部材が軽量であるため、揚重設備も軽減されるなど、ローコストで施工することができます。
- 省力化・品質の安定化
従来工法では、梁底や床板の型枠の施工に多くの作業員を要していましたが、「梁底PCa工法」では、その部分をPCa化し、柱や戸境梁の鉄筋は、ユニット化(先組鉄筋)して揚重機で取り付けることで大幅な省力化を図ります。また、PCa工場や現場ヤードで生産することで、品質を安定させることができます。なお、適用実績では、在来工法に対して、型枠工を約50%、鉄筋工を約26%省力化しました。
大林組は、建設現場の生産性の向上およびコスト低減に向けた方策の一つとして、「梁底PCa工法」を積極的に提案するとともに、お客様の安全・安心に対するニーズに応える施工技術を開発していきます。
【梁底PCa工法の施工方法】
【躯体工期の比較】
- ※1 プレキャスト(工法)
工場生産した部材を施工現場で揚重機により組み立てる施工法
- ※2 在来工法
施工階で鉄筋や型枠を組み立て、コンクリートを打設する施工法
以上
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大林組 CSR室広報部広報第一課
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