株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、「人が感じる明るさ感」を基に室内の照明を制御する「光環境制御システム」に、ブラインド制御機能を追加しました。本システムは、2014年に大林組が国立大学法人東京工業大学、株式会社ビジュアル・テクノロジー研究所と共同開発した技術で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」の助成対象に選ばれています。
大林組は、これまで技術研究所(東京都清瀬市)本館テクノステーションにおいて実証を進めていましたが、このたび、昭和電機株式会社(本社:大阪府大東市、代表取締役:柏木武久)東京支店が入居する神田風源ビルに、ブラインド制御機能を備えた本システムを初めて導入し、実証を開始しました。
光環境制御システムでは、明るさの評価に、東京工業大学中村芳樹准教授が開発した「人が感じる明るさ感」を数値化する指標「明るさ尺度値(※1)」を利用しています。照度(モノに当たる光の量)ではなく、輝度(目に入る光の量)を基準に室内の光環境を自動的に評価・制御することによって、低照度でありながら明るい印象を維持することが可能です。
従来の本システムでは、室内の輝度分布からアンビエント照明(部屋全般の照明)のみを制御していましたが、今回のシステムには、輝度カメラの画像を利用したブラインド制御機能が備わっています。アンビエント照明に加えてブラインドも統合的に制御することにより、日中の消費電力を60%以上削減するとともに快適性もさらに向上しました。
光環境制御システムの特長は以下のとおりです。
- カメラの画像を利用したブラインド制御
一般的なブラインド制御システムでは、屋上に設置したセンサーの晴曇天判断により、直射日光があるときは室内に入射しないように日光を遮蔽(しゃへい)し、直射日光のないときはブラインドのスラット角が水平または上部へ巻き上げられます。
今回、大林組が開発したシステムは、一般的なシステムとは異なり、窓面近傍に設置した屋外向きの輝度カメラの画像を基に制御判断を行います。晴曇天判断に加え、周囲の建物の影や反射光も制御判断の要素となっており、窓面の状況に応じて即座にブラインドの角度が変化します。
屋外の輝度画像で窓面の明るさ感評価を行うため、まぶしさを抑えた最適な制御が可能となります。 - ブラインドと照明の統合制御
ブラインド制御によって得られる自然光を屋内向きの輝度カメラで測定し、画像を基に明るさ感評価を行ったうえでアンビエント照明を制御します。個人が読み書きをするために机上の照度を補いたい場合には、手動でタスクライト(デスクライト)を調光すれば、好みの明るさに調整が可能です。
また、ブラインドとアンビエント照明の統合的制御により、執務者の快適性が向上するだけではなく、日中の消費電力を60%以上削減できます(光環境制御システムを導入していない従来照明方式の場合との比較)。現在はモニタリングを始めて間もない段階ではありますが、晴天日の日中に63%の削減を記録しており、これから実証を進める中で、さらなる低減をめざします。本システムは汎用性が高く、あらゆるブラインドや照明に適用できます。
今後、大林組は、神田風源ビルにおいて光環境制御システムの導入効果を実証し、タスクライトの利用状態についても評価・検証を行います。タスクライトの調光・調色状況や執務者の在席状況をモニタリングすることで、タスクライトも含めた最適な制御システムを開発する予定です。
大林組は、本システムを新築・改修工事に積極的に提案し、快適で省エネ効果の高い執務環境を提供するとともに、持続可能な社会に貢献する環境技術の開発を進めていきます。
- ※1 明るさ尺度値
目の順応や輝度対比といった人の視覚特性を加味した、実際に感じる明るさを評価できる指標
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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