株式会社大林組
キャンベラジャパン株式会社
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)とキャンベラジャパン株式会社(本社:東京都台東区、社長:畠中一郎)は、車両に積載した除染廃棄物の放射能濃度を測定するシステム、放射能測定ゲート「TRUCKSCAN」の改良モデルとして、「可搬型TRUCKSCAN」を共同で開発しました。
除染廃棄物の放射能濃度の測定は、時間などの制約から、廃棄物を保管した袋(フレキシブルコンテナ 以下フレコン)の表面の線量を作業員が測定することにより行われますが、この方法では、測定場所の空間線量が影響するなど正確な計測が困難であり、また、作業員が被ばくする可能性も懸念されます。
そこで大林組は、2013年にキャンベラジャパンと共同で、車両に積載した複数個のフレコンの放射能濃度を短時間かつ高精度に測定する放射能測定ゲート「TRUCKSCAN」を開発しました。除染廃棄物の中間貯蔵施設のゲートに設置することを想定し、廃棄物運搬車両を通過させるだけで、フレコン内容物の放射能濃度、車載量、車両ナンバーを瞬時かつ高精度に測定・記録できるシステムです。
このたび、同システムの改良モデルとして、運搬・設置が容易な「可搬型TRUCKSCAN」を開発しました。本技術は、環境省「平成27年度除染・減容等技術実証事業」に採択され、福島県双葉郡富岡町内で効果を実証中です。
「可搬型TRUCKSCAN」の主な特長は以下のとおりです。
- ユニット化により運搬・設置が容易で取り扱いやすく安価なシステムです
従来型は、中間貯蔵施設の出入り口に設置し、放射能濃度を測定することを想定して開発されましたが、2015年1月に環境省が発表したガイドライン(※1)では、中間貯蔵施設に輸送する前の各仮置場にてフレコンごとの放射線量測定を行うこととされており、簡易にどこにでも運搬・設置できる測定システムの開発が求められていました。
今回開発した可搬型は、検出器をユニット化することで、クレーン付トラックでの運搬・設置を可能にしたため、現在フレコンが仮置きされている狭あいな仮置場へも短時間で設置することができます。また、従来型と同様、NaI検出器(※2)を採用しているため、通常放射能濃度の厳密な数値を測定する際に用いられるGe検出器(※3)を使用する場合に比べ、安価に導入できます。
- 種々の車両の積載物を30秒で測定できます
車両1台当たり(10tトラック、フレコン8個積載を想定)、検出器のユニットを4台用いることで、従来型より早く、わずか30秒で測定できます。また、検出器の高さを自動で調整する機構を追加したことで、さまざまな大きさの車両に、さらに柔軟かつ高精度に対応することが可能になりました。
大林組とキャンベラジャパンは、除染廃棄物の仮置場や中間貯蔵施設における搬出入物の放射能濃度管理に「可搬型TRUCKSCAN」を積極的に提案し、福島第一原発事故における被災地の復興に尽力していきます。
- ※1
環境省「中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送に係るH26~H27年度実施計画(パイロット輸送)」
- ※2 NaI検出器
検出器の材質にNaI(ヨウ化ナトリウム結晶)を使用。検出感度が良く測定時間が短く、運用が容易な一方で、一般的には放射性物質ごとの分別能力が低いといわれる
- ※3 Ge検出器
検出器の材質にGe(ゲルマニウム半導体)を使用。放射性物質ごとの分別能力が高い一方で、一般的には測定に長い時間を要するといわれる。NaI検出器に比べ価格は約3倍
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
お問い合わせフォーム
キャンベラジャパン株式会社 カスタムソリューション事業部
TEL 03-5835-5402
プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。
Tweet