自動搬送システムの機能向上に向けて新たに「低床式AGV」を開発

操作性・走行性に優れたAGV(無人搬送車)で搬送作業の省力化・省人化を実現

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、建設現場における生産性の向上を図るため、自動で資機材を運搬する「低床式AGV」を新たに開発しました。

建設現場では、日々、大量の資機材を繰り返し運ぶため、搬送作業の省力化・省人化は、生産性の大幅な向上につながります。大林組は2013年にAGV(Automated Guided Vehicle 無人搬送車)を用いた自動搬送システムを開発し、大規模な建設現場などに導入してきましたが、従来の潜り込み式AGVは、磁気テープ上での走行を想定していたため、その経路から外れた作業エリアへ資機材を搬送することができませんでした。また、段差やスロープを走行できず、資機材を工事用の仮設エレベーターへ積み込めないため、上層階の作業エリアまで運べないことが課題でした。

コンパクトな低床式AGV

車高18cmとコンパクトな低床式AGV

そこで、大林組は走行性やデザインなどを見直し、新たに低床式AGVを開発しました。今回のAGVは、無線コントローラーを使って磁気テープのないエリアへも自在に走行させることが可能で、段差やスロープを乗り越えます。

シンプルでコンパクトな形状となったため、車体全体が資機材の下に完全に入り、資機材を積載したままで工事用の仮設エレベーターに乗り込めます。上層階へ搬送する際、建設作業員による積み込み、積み降ろし作業がなくなるので、生産性が大幅に向上します。

自動運転モードでの仮設エレベーターへの乗降イメージ

自動運転モードでの仮設エレベーターへの乗降イメージ

低床式AGVの主な特長は以下のとおりです。

  1. 段差やスロープを乗り越えて工事用の仮設エレベーターに乗降

    工事用の仮設エレベーターでの乗降の様子

    工事用の仮設エレベーターでの乗降の様子

    低床式AGVは車高が18cmと低く、コンパクトなため、車体全体がりん木(枕木)の上に積まれた資機材の下に入り、これを持ち上げて搬送します。2cm程度の段差を乗り越え、スロープ上の走行も可能であるため、資機材を積載したままで工事用の仮設エレベーターに乗降できます。

  2. 全方位走行と回転が可能

    駆動部に採用したメカナムホイール

    駆動部に採用したメカナムホイール

    低床式AGVの駆動部には「メカナムホイール」を採用しているため、全方位走行とその場での回転が可能です。

    フォークリフトを使うと、エレベーターから資機材を運び出す際には、いったんバックする必要がありますが、低床式AGVを使うとバックや切り返しの必要がありません。廊下や狭い資機材ヤードでも、切り返し動作なしで、進みたい方向へ資機材を搬送できます。なお、積載荷重は従来の潜り込み式AGVと同じく1tとなっています。


  3. 自動運転モードと遠隔操作モードの選択が可能

    遠隔操作モードでは無線コントローラーを利用

    遠隔操作モードでは無線コントローラーを利用

    低床式AGVには、自動運転モードと遠隔操作モードがあります。

    自動運転モードでは、貼り替え可能な磁気テープおよび磁気パネルで設定した経路において自動搬送が可能です。搬送先を設定すれば、元の場所と搬送先を繰り返し往復するため、搬送に労力がかかりません。今後はICTを活用し、工事用の仮設エレベーターと連動させて指定した階の作業エリアまで、資機材を一気に自動搬送できるように改良を進める予定です。

    また、遠隔操作モードでは、無線コントローラーを操作し、遠隔から低床式AGVを縦横無尽に動かすことができます。

大林組は建設現場における生産性の向上およびコスト低減に向け、本システムを建設現場に導入する予定です。少子高齢化に伴う建設作業員の減少を見据え、今後もさらなる省力化・省人化技術の開発を進めていきます。

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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