株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、国内初の高耐久性屋外鉄骨用耐火被覆工法「WFガード」を開発しました。
建築基準法では、用途や規模に応じて建築物を耐火仕様にすることが義務付けられています。屋外鉄骨であっても建築物の主要構造部として用いられる場合には、所定の耐火被覆を施し、火災時における構造の安全性を確保する必要がありますが、これまでは「屋外専用」の耐火被覆工法がなかったため、屋外で耐火被覆を行う場合には「屋内用」の耐火被覆材を施し、耐水・耐候性のある仕上げパネルなどで保護することが一般的でした。
しかしながら、複雑な形状の場合には仕上げパネルなどで完全に密封することが難しく、シール材の経年劣化によるジョイント部分からの漏水、鉄骨部材のさび、耐火被覆材の劣化が課題となっていました。
そこで大林組は、橋梁などの土木工事で使用される、長期にわたる防錆(ぼうせい)・耐候性に優れた「重防食塗装」と、建築工事で鉄骨部材の耐火被覆に用いる加熱発泡性の「耐火塗料」とを組み合せることにより、これまでにない高耐久性を有する耐火被覆工法を開発しました。これまでも「耐火塗料」が屋外鉄骨に適用される事例はありましたが、土木分野の技術を取り入れることにより、屋外環境での使用に特化した、防錆・耐候性の高い工法を実現しました。
本工法は「東京スカイツリー®」のために開発した技術であり、個別認定(※1)を取得のうえ適用しましたが、このたび、一般建築への普及・展開を図るため、耐火構造の国土交通大臣認定(1時間耐火 (※2))を取得しました。H型鋼の柱・梁に加え、角型および円型の鋼管も認定範囲に含まれているため、今後、さまざまな建築物に適用することが可能となります。
WFガードの主な特長は以下のとおりです。
- これまでにない高耐久性
上塗り塗料の塗り替え(メンテナンス)サイクルは最長25~30年まで、鉄骨部材に対する防錆・防食性能は最長100年まで設定可能であり、ライフサイクルコスト、メンテナンス性に優れます。
塗り替えサイクルが長期であるにもかかわらず、塗膜厚さはわずか2mm程度であるため、外観は通常の塗装と同様です。
- 豊富なバリエーションと経済性
予算や耐久性、メンテナンス性などの設計条件に応じて、幅広いバリエーションの中から塗装の仕様を選択できます。
これまで耐火被覆に使っていたアルミパネルや取り付け金具などが不要となるため、最大で約30%のコストダウンとなります。
大林組はWFガードを積極的に提案し、より高品質な建築物を提供するとともに、安全・安心の社会づくりに貢献していきます。
- ※1 個別認定
建築基準法に基づく性能評価の「ルートC」(国土交通大臣が指定した性能評価機関において性能を確認する審査を受け、個別建物を対象とした大臣認定を取得すること)により耐火構造として適用
- ※2 1時間耐火
建築基準法上、1時間耐火の適用範囲は、建物の最上層から数えて4層以内
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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