パイロット孔なしでコンクリート壁や床板を高精度に切断できるワイヤーソー装置「ディープノンループカッター」を開発

従来のワイヤーソー工法で施工できない箇所に対応できます

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、株式会社コンセック(本社:広島県広島市、社長:福田多喜二)と共同で、鉄筋コンクリート構造物の解体作業においてダイヤモンドワイヤーを切断面に直接押しつけて切断するワイヤーソー装置「ディープノンループカッター」を開発しました。

ディープノンループカッター

ディープノンループカッター

都市土木工事や建築リニューアル工事では、昼夜を問わず都市部の狭あいな場所での既設コンクリート構造物の解体作業が発生します。これらの作業には、打撃力で対象物を壊すハンドブレーカを用いることが一般的でしたが、騒音・振動の発生が課題となっていました。

そのため、近年の解体作業では、従来工法に代わり、低騒音で打撃振動を伴わないワイヤーソー工法、ウォールソー工法、連続コア工法などを採用するケースが増えています。中でも、ダイヤモンドワイヤーを構造物に環状に巻き付けて切断する引き切りワイヤーソー工法は、一度に大断面を切断でき、施工時間を短縮できるというメリットがありますが、構造物の裏面や側面にワイヤーを巻き付けるためのスペースを確保することが必要となります。

ディープノンループカッターと従来工法との比較

ディープノンループカッターと従来工法の比較

構造物の裏面が利用できずダイヤモンドワイヤーを巻き付けられない箇所では、対象物に2ヵ所のパイロット孔を設けて、ダイヤモンドワイヤーを巻き付けたガイドプーリーを孔内先端部に設置し、ダイヤモンドワイヤーを押し付けることによって切断する押し切りワイヤーソー工法が適用されますが、事前にパイロット孔の削孔が必要であることや、引き切りに比べると切断能率が低下することなどが課題でした。

そこで今回、大林組とコンセックは、切断箇所への設置が簡単で、前面から直接構造物を切断できる装置、ディープノンループカッターを開発しました。ダイヤモンドワイヤーの巻き付け、パイロット孔の削孔などの事前準備の手間を省き、かつ、より高精度な解体を実現します。

ディープノンループカッターの主な特長は以下のとおりです。

  1. 準備作業が不要・手作業が大幅軽減

    ディープノンループカッターはシンプルな構造であるため切断箇所への設置が容易であり、かつ構造物の前面から切断できます。そのため、引き切りワイヤーソー工法では必要な装置の組み立て、構造物へのワイヤーの巻き付け、パイロット孔の削孔など、手間を要する事前準備が不要になります。これにより、引き切りワイヤーソー工法との比較では、切断時間では劣るものの、準備作業を含めると同等の時間で作業でき、従来の押し切りワイヤーソー工法との比較では、30%程度切断時間が短縮できるとともに、準備作業の省力化が可能です。

  2. 解体(切断)精度の向上

    構造物のコンクリートを余分に切断することなく、必要な部分のみを精度良く切断することを可能にしました。これにより、構造物を箱抜き解体することや精度の良いブロック片として解体することができます。また、切断面は直線となるため、切断後、断面の仕上げ作業などは必要ありません。

  3. 幅広い施工条件に対応

    装置の小型化に成功したため狭あい部での施工が容易になりました。引き切りワイヤーソー工法のように構造物の裏面にダイヤモンドワイヤーを巻き付けるスペースがなくても施工でき、また、装置の姿勢は問わないため、あらゆる床・壁・天井面に対して作業することが可能です。

大林組とコンセックは、既設コンクリート構造物の解体にディープノンループカッターを適用し、省力化・短工期化を実現するとともに、工事施工中に発生する騒音・振動の低減要請に応えることで、環境負荷の低減を図っていきます。また、今後は、人手を必要とする事前準備作業などが少ないという利点を活かして、機械のパッケージ化を進め、危険作業区域での遠隔操縦化・ロボット化をめざします。

【ディープノンループカッターでの箱抜き解体】

ディープノンループカッターでの箱抜き解体


ディープノンループカッターでの箱抜き解体


ディープノンループカッターでの箱抜き解体


以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 CSR室広報部広報第一課
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