エンジニアリング功労者賞、奨励特別賞の2部門で受賞

千住関屋ポンプ所、暑さ指数ウォッチャー

サステナビリティ

8月27日、第一ホテル東京(東京都港区)で、第38回エンジニアリング功労者賞と第10回エンジニアリング奨励特別賞の表彰式が行われ、大林組が携わった東京・千住の雨水ポンプ所建設プロジェクトが功労者賞に、熱中症危険度通知システム「暑さ指数ウォッチャー」が奨励特別賞に選ばれました。

これらの賞は、ゼネコン、エンジニアリング、鉄鋼、造船など200を超える企業・団体から毎年推薦を募り、決定されるものです。今年度は功労者賞に12件、奨励特別賞に7件が選出されました。

表彰状を授与される「暑さ指数ウォッチャー」開発プロジェクトチーム
表彰状を授与される「暑さ指数ウォッチャー」開発プロジェクトチーム

第38回エンジニアリング功労者賞 「エンジニアリング振興」部門

千住関屋ポンプ所ケーソン沈設工事プロジェクトチーム

近年増加している局地的豪雨対策として、雨水を地下水槽に一時貯留後、隅田川に放流するポンプ所を建設しています。巨大水槽の建設において、大型のニュ-マチックケ-ソン2函体(合計4,903m²:世界最大平面積)を、離隔2mという近接状態で深さ50m以上同時沈設させた世界初の工事です。

住宅密集地域での施工を踏まえ、工期の短縮が見込めることから、先行して構築した躯体を沈下させながら施工するニューマチックケーソン工法を採用。2函体を同時に沈設することで通常10~15年要するところを8年に短縮しました。

これらの成果は今後の大型ニュ-マチックケ-ソン同時沈設技術の発展に大きく寄与し、わが国のエンジニアリング産業の技術向上に大きく貢献するものとして評価されました。

施工中の全景
2010年から工事を開始した千住関屋ポンプ所。プール約50杯分の雨水を貯留する(所在地:東京都足立区、事業者:東京都下水道局)

第10回エンジニアリング奨励特別賞 「実プロ化が期待される先駆的技術」部門

暑さ指数ウォッチャー開発プロジェクトチーム

建設業における熱中症災害の発生率は高く、その低減は急務となっています。作業現場内の複数箇所のWBGT(Wet Bulb Globe Temperature:暑さ指数)(※1)を連続測定し、その情報を工事事務所でリアルタイムに一括把握できるシステム「暑さ指数ウォッチャー」を開発しました。

本システムは、ネットワークの敷設が困難な作業現場に独自の無線ネットワークを構築、Wi-Fi敷設や通信会社との契約が不要です。各ルーターは相互に無線中継でき、最大200台まで設置できるため現場内での多点計測が可能となります。

建設現場にとどまらず、すべての労働環境で活用されるよう低コスト化・コンパクト化を実現し、さらなる利便性や信頼性の向上をめざし開発を重ねている点が評価されました。

新型「暑さ指数ウォッチャー」
新型「暑さ指数ウォッチャー」。 建設現場内の多点でWBGTを連続測定できた例がなかったため、本システムによる計測データは学術的な視点においても非常に貴重なデータとなっている

大林組は、これからも技術と知恵を結集したエンジニアリングによって、社会的課題の解決に貢献していきます。

  • ※1 WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)
    熱中症を予防することを目的として、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、人体の熱収支に与える影響の大きい(1)湿度、(2)日射・輻射など周辺の熱環境、(3)気温の3つを取り入れた指標