建設現場のIoT化に対応した通信環境を簡便に構築する多機能分電盤「ノアキューブ」を開発

建設現場における人やモノの状態の見える化を促進し、安全や省エネにも貢献します

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、IoT化が進む建設現場において設置するだけで通信環境を簡便に構築でき、安全や省エネにも貢献する多機能分電盤「ノアキューブ」を開発し建設現場に導入しました。

 

  • ノアキューブ外形

  • 内部構造

建設現場では、生産性、安全性の向上やさらなる省エネの推進に向け、ICTや、人やモノの状態が見える化できるIoTを活用する必要性が高まっています。一方で、高層部や地下空間など作業場所によっては通信電波が届かない範囲もあり、IoT機器を利用するためには、機器ごとに適した規格の通信環境を個別に構築しなくてはならないといった課題がありました。

今回開発したノアキューブは、建設現場で利用する電力を給電するため一定範囲ごとに必ず設置する分電盤に、さまざまな規格の通信機能やネットワークカメラなどを付加した多機能分電盤です。ノアキューブを設置し配電網を構築するだけで、同時にIoT機器を利用するための通信環境も構築することができます。また、ネットワークカメラは、現場内の遠隔監視ができるだけでなく、火災の原因となる火花の自動検知機能を持つため、火気作業に起因する災害発生リスクを低減します。さらに、照明設備や工事用機械の消費電力量を一元的に監視し、利用状況に応じて遠隔で電源のON/OFF操作が可能なため、無駄な消費電力を減らして省エネにも貢献します。

   

ノアキューブの主な特長は以下のとおりです。    

通信環境を簡便に構築し、多種多様なIoT機器を通信規格に捉われず利用可能に

ノアキューブは、電力線を通信線としても利用する技術である電力線通信(Power Line Communication:PLC)(※1)を取り入れています。そのため、従来の分電盤に代えてノアキューブを設置し、電力線を配線するだけで、追加の作業を行うことなく通信環境を構築することができます。また、有線LANはもちろん、Wi-Fi、Bluetooth、サブギガ帯長距離通信など各種無線通信規格に対応しているだけでなく、アナログ入力も可能なため温度計や圧力計からの信号をデジタル値に変換し活用することが可能です。

大林組が既に開発している労働環境の暑さ指数を計測する「暑さ指数ウォッチャー」や、クレーンに取り付けたセンサーからのデータを活用しクレーン操作を支援する「マシンガイダンスシステム」なども、ノアキューブに接続することで他の通信設備を用意することなく利用できるため、建設現場のIoT化の促進に貢献します。

ネットワークカメラやオプション機能を追加し安全性を向上

ノアキューブはネットワークカメラや非常ボタン、音声通話機能などを標準搭載しています。ネットワークカメラは、火花の自動検知機能を備えており、想定外の火気作業や上層階からの火花の落下を検知すると管理者にメールを送信します。また、非常ボタンを押すと管理者に通報が入り、通話機能を利用した会話が可能です。

万が一、建設現場で事故や災害が発生した場合、管理者はノアキューブを介して現場の映像を確認し、通報者へ即座に必要な対応を音声で伝えることができます。さらに映像は常に録画されているため、事故や災害の発生直前の状況を確認することで、原因究明や再発防止にも役立ちます。

加えて、ディスプレイを接続することでデジタルサイネージの機能を持つほか、要望に応じてさまざまなオプション機能を付加できるといった拡張性を有しています 。

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火花検知状況

消費電力量の監視により省エネに貢献

管理者は、作業開始前と完了時に分電盤のON/OFF操作のため建設現場を巡回しますが、大規模な現場では分電盤が広範囲に多数あるため、これらの作業には多大な時間がかかっていました。ノアキューブは、遠隔でON/OFF操作が可能なため、作業が行われていない範囲の電源を一括でOFFにすることで、省エネや生産性向上に貢献します。また、接続している照明設備や工事用機械の消費電力量を負荷別かつ一元的に監視することで建設現場の全消費電力を見える化し、消費電力ピークの平準化や工事用機械の稼働効率改善にも役立てます。

大林組は、すでに全国の建設現場でノアキューブの導入を進めており、標準の分電盤として普及展開していく予定です。今後は、ノアキューブのIoT機能を拡張し、さらなる建設現場の生産性、安全性の向上や省エネに貢献していきます。

        
  • ※1 電力線通信(Power Line Communication:PLC)
    電気エネルギーを供給する電力線に高周波の通信用信号を重ねて伝送させることにより、電力線を通信ケーブルとしても使用する技術

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報第一課
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