「暑さ指数ウォッチャー®」を建築現場に本格導入、労働環境以外にも対応します

熱中症ゼロをめざし本格運用を開始、教育やスポーツの場での使用にも対応

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、作業現場内の複数箇所でWBGT(暑さ指数)(※1)を連続測定し、その情報を一元管理することができるシステム「暑さ指数ウォッチャー」の本格運用を開始します。今年度、大林組が施工中の約300ヵ所の建築現場に導入するとともに、労働環境以外にも学校やスポーツ施設向けの各指針に対応する機能を付加し、外販を開始する予定です。

近年は、熱中症への対策が社会全体の課題となっています。平成30年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(※2)によると、職場での熱中症による死亡者数は前年比で2倍になるなど、その対策は不可欠となっています。

このような状況の中、就労環境が日々刻々と変化する建設現場で働く作業員の熱中症災害を防ぐためには、複数の作業場の熱環境をくまなく、かつ連続的に測定・把握し、その情報を基に迅速な対応をとることが非常に重要となります。

「暑さ指数ウォッチャー」は、日本工業規格(JIS B 7922)(※3)に基づきWBGTを高い精度で計測し、作業強度などの与条件に応じたWBGT基準値を自動設定するなど、優れた性能を有しています。

WBGT基準値選択画面(新機能)

また、計測データをリアルタイムでクラウドシステムに送信するため、作業環境の情報をいつでもどこでも確認することができます。施工管理者のみならず、作業員や作業員を取りまとめる職長など一人ひとりが、作業環境を認識し、適切な熱中症対策を状況に応じて検討することで、熱中症の予防効果をより向上させ、熱中症災害の低減に一層の効果を発揮します。

システム構成イメージ図
管理画面イメージ

「暑さ指数ウォッチャー」が利用するWBGT基準値について、2018年度までは現場や工場で働く作業者を対象とした「作業者に関する指針」に基づく値のみ対応していました。しかし、熱中症災害は労働環境に限らず日常環境においても発生するリスクがあります。そのため、さまざまな環境に応じた対策を講ずることができるように、学校での授業時や高齢者の在宅時などの日常生活を対象とした「日常生活に関する指針」、さらには競技場や体育館などの運動時を対象とした「運動に関する指針」(※4)に基づく2つの基準値も利用できる機能を追加しました。状況に応じて3種類の基準値から適切なものを選択することで「暑さ指数ウォッチャー」を学校やスポーツ施設など、労働環境以外でも使用できます。

2019年度、大林組では「暑さ指数ウォッチャー」の本格運用を開始することとし、日本全国で施工中のおよそ300ヵ所の建築現場に導入するとともに、作業環境以外への「暑さ指数ウォッチャー」の普及についても推進し、熱中症災害の撲滅をめざします。

暑さ指数ウォッチャー外観(左:子機、右:親機)
 
  • ※1 WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度(℃))
    熱中症を予防することを目的として、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、人体の熱収支に与える影響の大きい(1)湿度、(2)日射・輻射など周辺の熱環境、(3)気温の3つを取り入れた指標。暑さ指数ウォッチャーは、電子式WBGT測定器であり「温湿度センサー」「黒球センサー」を用いてWBGTを計算している
  • ※2 平成30年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」
    労働基準局 安全衛生部 労働衛生課から確定値を公表(2019年5月17日付、厚生労働省ウェブサイト)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04759.html
  • ※3 JIS B 7922「電子式湿球黒球温度(WBGT)指数計」
    市販されているWBGT測定器には黒球のないものが存在し、WBGT指数の構成要素である黒球温度を評価できないことから、2017年3月21日付でJIS B 7922「電子式湿球黒球温度(WBGT)指数計」が発行された。JIS B 7922は「黒球を有する、湿度センサー型の電子式WBGT測定器」を対象とし、湿度センサー、黒球温度センサー、気温センサーの精度が規定されている
    「WBGT指数による暑熱環境評価と、電子式WBGT測定器のJIS化について」から一部引用(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所ウェブサイト)
    https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2017/102-column-1.html
  • ※4 作業者に関する指針、日常生活に関する指針、運動に関する指針
    作業者:WBGT(湿球黒球温度)指数に基づく作業者の熱ストレスの評価(JISZ8504、1999)
    日常生活:日常生活における熱中症予防指針Ver.3(日本生気象学会、2013)
    運動:熱中症予防運動指針(日本体育協会(現日本スポーツ協会)、1994)
    (環境省ウェブサイト)
    http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php

以上

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大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報第一課
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