鋼橋の床版取替工事における床版ハンチ部の乾式水平切断工法「サブマリンスライサー™」を開発しました

交通規制期間の短縮や安全性の向上を実現

プレスリリース

株式会社大林組
株式会社横河ブリッジ
コンクリートコーリング株式会社


株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)、株式会社横河ブリッジ(本社:千葉県船橋市、社長:髙田和彦)、コンクリートコーリング株式会社(本社:大阪市都島区、社長:藤尾浩太)は、道路橋リニューアル工事における交通規制期間の短縮や安全性の向上を目的として、鋼橋の床版取替工事における床版ハンチ部(※1)の乾式水平切断工法「サブマリンスライサー」を共同開発しました。

乾式水平切断装置

昨今、社会インフラの老朽化が社会問題となっており、国内の道路橋においても、その約半数が今後10年間で建設から50年経過するなど、リニューアルが急務となっています。道路橋の床版取替工事では、一般的に上下線の一方を通行止めとし、残った路線を1車線の対面通行にして車両を通行させますが、交通規制によって渋滞が発生するため規制期間の短縮が常に求められます。そのため、交通規制期間の短縮に向け、プレキャスト部材の導入など新設の床版設置工事における工期短縮技術の開発が行われてきましたが、既存床版の撤去期間の短縮に有効な技術開発はあまり進んでいませんでした。

従来、橋桁と床版がスタッドなどの「ずれ止め」で接合されている合成桁(※2)の床版撤去工事では、まず桁の両側の床版を鉛直に切断して撤去します。次に桁上に残った床版コンクリートをウォータージェットなどで撤去し、最後に残置されたずれ止めを切断する手順で行いますが、施工ステップが多く撤去作業に時間がかかるなどの課題がありました。

今般、大林組、横河ブリッジ、コンクリートコーリングの3社は、床版下から乾式のワイヤーソーを用いた超低空頭の乾式水平切断装置により、桁と床版の接合部をずれ止めも含めて水平切断することで、施工ステップを大幅に削減し、床版撤去に伴う交通規制の期間を短縮する乾式水平切断工法「サブマリンスライサー」を開発しました。

  • 従来の道路床版撤去手順

  • 乾式水平切断工法「サブマリンスライサー」による道路床版撤去手順

   

本工法の主な特長は以下のとおりです。    

施工ステップの削減によって交通規制期間が短縮

本工法では、乾式水平切断装置を床版の下に取り付け、ハンチ部をずれ止めと共に切断することで桁と床版を切り離します。切断用ワイヤーが装置の上端に配置されており、床版から1cm下を切断できるため、ハンチ高さが低い床版に対しても利用可能です。施工ステップの削減によって交通規制期間を最大で従来工法の65%程度に短縮することができます。

切断部拡大

排水や騒音を抑制するため、周辺環境への影響も低減

従来工法では、一般的に、桁上のコンクリートの撤去にはウォータージェットを利用しており、切断に伴い発生する大量の排水の処理や、騒音が課題となっていました。今回開発した工法は、水を使用しない乾式のワイヤーソーを利用しているため排水が発生しません。加えて、従来工法に比べて切断時の騒音が小さいだけでなく、床版下での作業になるため周囲への音の拡散が抑制されるなど、周辺環境への影響を低減します。

床版が安定した状態で作業するため安全性が向上

従来工法では桁両側の切断と同時に床版が落下しないように、床版をクレーンで吊った状態で切断し撤去していましたが、切断が完了した瞬間に床版が急に吊り上がったり、下がったりすることがあるため、周囲への接触事故やクレーンが転倒する危険がありました。本工法では、床版が桁上に載ったままの安定した状態で切断するため、切断完了時に床版が動くことがなく、作業の安全性が向上します。

大林組、横河ブリッジおよびコンクリートコーリングは、今後さらに、交通規制期間の短縮や施工性・安全性の向上のための技術開発を行い、工事に伴う渋滞の緩和や周辺住民・作業員の安全・安心に貢献していきます。

 
  • ※1 ハンチ部
    梁の接合部などで断面が他の部分より大きくなっている箇所
  • ※2 合成桁
    鉄筋コンクリート床版と鋼桁を一体化させた形式。鋼桁の上にスタッドなどの「ずれ止め」を配置することで、床版と鋼桁が一体となって荷重を支える。一方で、床版と鋼桁が別々に荷重を支える形式(ずれ止めが配置されていない構造)を非合成桁と呼ぶ。一般に、合成桁の方が荷重を支える性能は高くなる

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室広報第一課
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横河ブリッジ 総務本部総務課
TEL 047-437-8000

コンクリートコーリング 営業部
TEL 06-6924-4517

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