鋼橋の床版取替工事における床版ハンチ部の乾式水平切断工法
サブマリンスライサー®
交通規制期間の短縮や安全性の向上を実現します
サブマリンスライサーとは?
道路橋の床版取替工事において、橋桁と床版を超低空頭の乾式ワイヤーソーを用いた装置で水平切断する工法です。従来、橋桁と床版がスタッドなどの「ずれ止め」で接合されている合成桁(※1)の床版撤去工事では、まず桁の両側の床版を鉛直に切断して撤去し、次に桁上に残った床版コンクリートをウォータージェットなどで撤去した後、最後に残置されたずれ止めを切断する手順で行います。この方法では、施工ステップが多く撤去作業に時間がかかるなどの課題がありました。サブマリンスライサーは、桁と床版の接合部をずれ止めも含めて水平切断するので施工ステップを大幅に削減し、床版撤去に伴う交通規制の期間を短縮することが可能となります。
お客様のメリット
施工ステップの削減によって交通規制期間が短縮できます
- 乾式水平切断装置を床版の下に取り付け、ハンチ部(※2)をずれ止めと共に切断することで桁と床版を切り離します。切断用ワイヤーが装置の上端に配置されており、床版から1cm下を切断できるため、ハンチ高さが低い床版に対しても利用可能です。施工ステップの削減によって交通規制期間を従来工法の80%程度に短縮することができます。
排水や騒音を抑制するため、周辺環境への影響も低減します
- 従来、桁上のコンクリートの撤去にはウォータージェットを用いており、切断に伴って発生する大量の排水の処理や、騒音が課題となっていました。サブマリンスライサーは、水を使用しない乾式のワイヤーソーを利用しているため排水が発生しません。
- 従来工法に比べて切断時の騒音が小さいだけでなく、床版下での作業になるため周囲への音の拡散が抑制されるなど、周辺環境への影響を低減します。
床版が安定した状態で作業するため安全性が向上します
- 従来工法では桁両側の切断と同時に床版が落下しないように、床版をクレーンで吊った状態で切断し撤去していましたが、サブマリンスライサーでは、床版が桁上に載ったままの安定した状態で切断するため、切断完了時に床版が動くことがなく、作業の安全性が向上します。
- ※1 合成桁
鉄筋コンクリート床版と鋼桁を一体化させた形式。鋼桁の上にスタッドなどの「ずれ止め」を配置することで、床版と鋼桁が一体となって荷重を支える。一方で、床版と鋼桁が別々に荷重を支える形式(ずれ止めが配置されていない構造)を非合成桁と呼ぶ - ※2 ハンチ部
梁の接合部などで断面が他の部分より大きくなっている箇所
【実績・適用例】
中央自動車道(特定更新等)柳樽川橋他9橋橋梁補修工事のうち、落合川橋(下り線)
中央自動車道(特定更新等)弓振川橋床版取替工事のうち、弓振川橋
中央自動車道(特定更新等)園原橋他3橋橋梁補修工事のうち、池ヶ谷川橋(下り線)