シールドマシン掘進に伴う振動を低減する技術「ゆれなシールド™」を開発しました
シールドマシンにアクティブ制振技術を適用することにより周辺環境に配慮
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プレスリリース
株式会社大林組
JIMテクノロジー 株式会社
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、JIMテクノロジー株式会社(本社:神奈川県川崎市、社長:三木孝信)のアクティブ制振技術を適用することにより、シールド掘進時の振動を低減する技術「ゆれなシールド」を開発しました。
シールド工法は、都市部や住宅街といった地上部が既に開発されている地域での地下トンネル工事において、施工の安定性や地上部への影響が少ないことから多く採用されています。しかし、シールドマシンは掘進に伴いさまざまな場面で振動が発生することがあるため、周辺環境に影響を及ぼすことが懸念される場合、夜間の施工は控えるといった掘進時間の制限や速度の低減などの対策を行いますが、これらの対策は工事の進捗に影響を与えることが課題となっていました。
今回、大林組とJIMテクノロジーは、シールドマシンの掘進に伴う振動を低減するために、建物の振動抑制に用いられるアクティブ制振技術を適用することで、高い振動低減効果を得られる技術ゆれなシールドを開発しました。ゆれなシールドは、シールドマシンから振動が発生すると、振動発生源であるシールドマシン自体に強制的に逆位相の振動を与えて振動を低減させる技術です。
大林組が施工した現場において適用した結果、シールドマシンの振動を最大34%低減できました。
ゆれなシールドの特長は以下のとおりです。
振動発生源であるシールドマシンの振動を抑制できます
中折れジャッキ(※1)を有するシールドマシンの場合には、複数本ある中折れジャッキの一部を油圧アクチュエータ(※2)として使用します。中折れジャッキに取り付けられた加速度計や変位計が振動の振幅や周波数を計測すると、瞬時に油圧制御データが制御装置から発信されます。アクチュエータとなる中折れジャッキは、応答性能が高い電気油圧弁であるサーボバルブ(※3)によって起振し、計測した振動を打ち消すための逆位相の振動を起こすことで、シールドマシンの振動を低減します。
多様な振動発生原因に対して効果を発揮します
加速度計、変位計およびサーボバルブは、アクチュエータとして使用する中折れジャッキに対しそれぞれ設置しています。振動が発生した際には、個々のサーボバルブがそれぞれの計測結果に応じて中折れジャッキを起振させるため、さまざまな振動にきめ細かく柔軟に対応できます。そのため、主に4つに分類されるシールドマシンの振動発生原因である「立坑仮壁直接切削時」、「礫(れき)地盤掘削時」、「砂地盤掘削時」、「急曲線掘削時」のいずれに対しても効果を発揮します。
シールドマシンの大きさやタイプに関係なく適用できます
シールドマシンは小断面と言われるシールド外径φ2m程度ものから、大断面と言われるシールド外径φ10mを超える、さまざまな断面がありますが、ゆれなシールドは外径の大小に関わらず適用することができます。中折れジャッキを有さないシールドマシンは、代わりにシールドジャッキを油圧アクチュエータとして起振することで振動を低減させることも可能です。
大林組は、シールド工事においてゆれなシールドを積極的に活用し、周辺環境に配慮しながら工事を遅滞なく進めることで、周辺住民の負担軽減に努めてまいります。
- ※1 中折れジャッキ
曲線施工時や姿勢制御の際、シールド本体を前胴と後胴に分けて、屈曲させるための油圧ジャッキ
- ※2 油圧アクチュエータ
入力された作動油の流体エネルギーを伸縮といった直線運動の機械エネルギーへ変換する動力伝達装置。今回、中折れジャッキを改造し素早い伸縮動作が可能なアクチュエータとしている
- ※3 サーボバルブ
変化する入力信号を無段階の油圧制御に変換する、連続的に作動する電気油圧弁。通常使用される電磁弁に比べて応答性能が高い
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報第一課
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