太陽の塔が第29回BELCA賞を受賞

サステナビリティ

1970年の大阪万博開催時に「人類の進歩と調和」というメインテーマのもと造られた高さ70mの太陽の塔(写真:昭和設計)

ロングライフビル推進協会が主催する第29回BELCA賞ベストリフォーム部門で、大林組が2018(平成30)年に改修した「日本万国博覧会記念公園太陽の塔」(大阪府吹田市)が選ばれました。

BELCA賞は、長期にわたる適切な維持保全や優れた改修を実施した建築物を表彰する制度で、わが国のビルのロングライフ化に寄与することを目的としています。ベストリフォーム部門では、長期使用のビジョンを持って飛躍的な価値向上を図った建築物が表彰されています。

芸術家の岡本太郎がデザインした太陽の塔は、1970(昭和45)年の大阪万国博覧会開催時にシンボルゾーンであったテーマ館の一部として造られました。

「工作物」として保存され、構造・安全上の点から人が入ることができなかった太陽の塔を、今回のリフォームで常時観覧できる「建築物」へとよみがえらせました。

岡本太郎の思想的なデザインイメージを変えずに、耐震性の確保やメンテナンス、将来的な演出変更を目的とした設備の設置、エントランス空間の増築などを行いました。内部にそびえる高さ41mの「生命の樹」を残したまま作業を行うため、足場・楊重計画では、点群データ(※1)から変換したBIMの3次元モデルを活用しています。

今回の受賞では、展示工事と建築工事の間で綿密な連携がなされ、BIMや構造解析ツールなどの現代の技術を駆使することで工事の効率性と正確性を高めたことが評価されました。

外観はそのままに、内部を建築物として現行法規に適合させた関係者の思いと、それを裏付ける技術的レベルの高さが、まさにベストリフォームに値するとされました。

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地中に位置する1階へのエピローグ空間として半地下部分を増築。「地底の太陽」が塔内部への期待感を高めている(写真:野村和慎)
主な改修概要 腕から下のRC(鉄筋コンクリート)壁補強、腕から上の鉄骨補強、腕の振動対策のための軽量化などを実施(提供:昭和設計)

「太陽の塔 内部再生事業の現場」を動画でご覧いただけます

(動画再生時間:8分9秒)

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    「生命の樹」を自由な角度から見られる階段を設置(写真:野村和慎)

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    BIMの3次元モデルを活用した内部足場の計画

  • ※1 点群データ
    建物の外観、内部などを3Dレーザースキャナーによって計測した無数の3D座標点

■日本万国博覧会記念公園太陽の塔 概要
竣工:1970(昭和45)年
改修:2018(平成30)年
所有:大阪府
改修設計:大阪府住宅まちづくり部公共建築室一般建築課、昭和設計
改修施工:大林組