渋滞を抑制する新たな床版取替工法「DAYFREE™」を開発・施工
夜間車線規制のみで交通量の多い路線の床版取り替えを実現
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プレスリリース
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、中日本高速道路株式会社(本社:愛知県名古屋市中区、社長:宮池克人)と共同で、橋梁リニューアル工事での工事渋滞を抑制するため、交通量の少ない夜間の車線規制のみで工事が可能な床版取替工法「DAYFREE」を開発しました。このたび、中日本高速道路発注の中央自動車道・弓振川橋(上り線)の床版取替工事において本工法を採用しています。
高速道路の橋梁リニューアル工事では、いったん工事を始めると橋桁上の床版の撤去、架設が完了するまで、上下線のいずれかを通行止めのうえ対面通行にするといった規制を行います。現況の車線数を確保するために仮橋によるう回路を設置する対策もありますが、都市部では土地の確保が困難なことから交通規制が避けられず、規制期間をできる限り短くすることが求められています。
大林組および中日本高速道路は、床版取替工事の施工ステップを分割し、交通量が少ない夜間の車線規制のみで工事が可能な工法DAYFREEを開発しました。DAYFREEは、大林組が開発したトレーラーで運搬できる半断面(2車線道路の1車線)用の移動式床版架設機「ハイウェイストライダー™」や、「スリムクリート®」で制作したプレキャスト板を床版同士の接合部に設置する「スリムNEOプレート™」を活用することで、限られた時間内で既設床版の撤去から新たな床版の架設、路面復旧を行います。交通量の多い昼間は規制を解除することができるため、1日数万台という交通量がある都市部におけるリニューアル工事においても、渋滞の発生を抑制します。
DAYFREEおよびハイウェイストライダー、スリムNEOプレートの特長は以下のとおりです。
施工ステップを分割し夜間のみの交通規制による施工
従来の床版取替工事においては、既設床版の撤去、鋼桁の研掃(ケレン)作業、新しい床版の架設、床版接合部のコンクリート打設、防水・舗装工の5ステップを1サイクルとして昼夜間連続で施工するため、1サイクルが完了するまでの数日間交通規制をする必要があります。
DAYFREEは、交通量の少ない夜間に1車線を規制したうえで、既設床版を撤去し、仮設床版を設置して一旦交通開放します。翌日の夜間以降、鋼桁上面の研掃作業や、設置した仮設床版の撤去、新しいプレキャストPC床版の架設を順次実施します。これらの作業工程を1サイクルとして繰り返し、床版取替工事を完成させます。1サイクルの間でも、昼間は仮設床版を設置し交通開放しているため、車両は問題なく通行できます。
専用の移動式床版架設機により半断面での施工が可能
従来、床版撤去や架設には大型クレーンを使用していましたが、クレーンの設置に時間がかかることに加え半断面に収まらないため片側車線規制には使用できませんでした。今回開発した半断面専用の移動式床版架設機(ハイウェイストライダー)は、支柱が鉛直・水平方向に伸縮可能な門型クレーンです。トレーラーで架設地点にて搬入後、支柱を伸ばすことで半断面に収まるように自動かつ短時間で設置し、撤去時も同様に支柱を収縮することでトレーラーに搬入できます。
昼間開放が可能な接合工の開発
交通開放するためには、架設した床版同士間の接合部に所定の強度が必要となりますが、従来の鉄筋コンクリート構造では、コンクリート打設後最短でも2~3日かかりました。そこで、常温硬化型超高強度繊維補強コンクリートのスリムクリートを使用し、工場製作したプレキャスト板を床版の接合部に設置することで、速やかに昼間の交通開放が可能となるスリムNEOプレートを開発しました。
スリムNEOプレート自体が高強度を有するため、設置後は速やかに防水・舗装工に移れます。また、プレート下面の空隙は、道路を共用しながらでも床版下面からスリムクリートで充てんでき、品質と長期耐久性を確保します。
大林組は、今回開発したDAYFREEや各技術を床版取替工事に適用することで、高速道路のリニューアル工事に伴う交通規制期間や回数を減らすとともに、交通インフラの長寿命化に貢献していきます。
以上
この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報第一課
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