免震建物へのフェイルセーフ機構「免震フェンダー®」を中間層免震建物に初適用しました

想定以上の地震時における安全性を向上

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、免震建物へのフェイルセーフ機構「免震フェンダー」を改良し、中間層免震建物としては初めて日本生命日本橋ビル(所在地:東京都中央区)に適用しました。

大林組が2017年に開発した免震フェンダーは、基礎免震建物において建物の構造設計で想定した以上の地震が発生した場合に、建物利用者の安全性を向上させるフェイルセーフ機構です。建物がクリアランスより大きく動き、擁壁に衝突する際の衝撃力を、免震フェンダー(高減衰ゴム製ブロックの緩衝装置)により緩和します。開発以来、大林組が設計した複数の建物に採用されていますが、免震層を1階床より上に設ける中間層免震建物においては、免震層が擁壁に囲まれていないため免震フェンダーを適用できませんでした。そのため想定以上の地震が発生した場合は、免震装置が限界変形量を超えて損傷することや、狭あいな敷地の建物が隣接する建物と衝突するリスクがありました。

そこで、免震層上部の建物から伸ばした束材(つかざい)(※1)周囲にストッパーを構築し、免震フェンダーをリング状に配置することで、中間層免震建物にも適用できるように改良しました。想定以上の地震時において免震層上部の建物がどの方向に動いた場合でも、束材が免震フェンダーに接触して可動変形量に制限をかけるため、免震装置は損傷せず、かつ建物の近隣への越境を防ぐことができます。

免震フェンダーは日本建築センターの建設技術審査証明を取得しており、その性能については技術的な裏付けがされています。

免震フェンダー設置位置

中間層免震建物に対応した免震フェンダーの特長は以下のとおりです。

リング状のストッパーで想定以上の地震発生時の変形量を制御

建物がどの方向に揺れても機能を果たすように、免震層にリング状のストッパーを構築し、リングの内側には免震建物として必要なクリアランスを確保した上で免震フェンダーを設置します。そのため、地震時に建物がどの方向に動いても免震フェンダーに接触し衝突の衝撃力を緩和することで建物の損傷や家具の転倒といったリスクを抑制して建物利用者の安全性を向上させます。

日本生命日本橋ビルにおいては、1階と2階の間に設けた免震層に過大変形防止用のリング状のストッパーを設けています。リング状のストッパーは過大変形時にも建物にねじれが生じないようにバランスよく配置しています。

中間免震層平面図
設置状況写真

廉価で取り入れやすい装置

免震フェンダーには、従来同様に住友ゴム工業株式会社(本社:神戸市中央区、社長:山本悟)協力のもと開発した高減衰ゴム製ブロックを採用していますが、少ない個数で高い減衰性能を発揮します。ゴム製ブロックと取り付け用の鉄板によるシンプルな構成のため、運搬および取り付け、取り外しが容易で、廉価に設置できます。

大林組は免震フェンダーを免震建物における想定以上の地震に対するフェイルセーフ機構として積極的に提案することで、安全・安心な社会の実現に貢献していきます。

  • ※1 束材(つかざい)
    垂直に立つ部材。上下の階をつなぐほど長くないもの

以上

この件に関するお問い合わせ先
大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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